外観
澄んだ輝きのある、やや濃い目のルビー色。
エッジの紫には変色が見られ、多少の経年を感じさせる。
粘性は中程度。傾けると朧気なアーチが見られる。
香り
香りはしっかりと感じられる。
クランベリー、カシスといった果実を思わせる華やかさ。
仄かにハーブや紅茶といったニュアンスも。
第一アロマと第二アロマが入り混じる、複雑な陽性の香り。
味わい
アタックはやや強め。
溌剌とした酸。瑞々しい果実の甘味が特徴的。
一方でしっかりとしたタンニンの苦味の主張も強い。
アルコールはアッパー寄りで厚め。
総じて、華やかでポップながら厚みもあり、バランスが取れている。
余韻はやや長め。舌の奥に甘酸っぱい果実味と、ヴェジタルな苦味が続く。
総評
ポップでリッチなミディアムボディ。
供出温度は17度以下、グラスは中~大ぶりのものが良いだろう。
デキャンタージュとまでは言わないが、抜栓して多少時間を空けるか、エアレーターを通す事を推奨。味にまとまりがでて円やかな果実味が出てくる。
ヴィノスやまざきイチオシの匿名ワインである。
匿名ワインとは、「生産者の顔の見えないワイン」ということで、カリフォルニアの銘醸地で有名なワイナリーや畑のぶどうやワイン等を買い付け、その名前を明かさないという契約で販売しているもののようだ。
その意図としては、「カルトワイン」クラスのワインを手頃な価格が提供できるように、要するにブランドの冠を外す事で有名税を取っ払いリーズナブルに流通させることを目指しているとのことのようだ。
一体誰が作ったワインなのか、実に気になるところだ。ナパの「R」といえば、オーパス・ワンのロバート・モンダヴィが真っ先に思い浮かぶが、はてさて。
しかしまあ、そんな不確実な話はさておいて。
まずカベソー主体とは思えないフルーティさに驚かされる。実にポップでキャッチーだ。アッパー気味なアルコール感とも相まって、ツマミを必要としないこの万能的な味わいを好む方にはど真ん中ストライクと言えるだろう。
だがそんな表面的な華やかさと並行して存在する、パワフルで奥行きの深い、圧倒的な充足感を醸し出すタフなボディが素晴らしい。全く飲み飽きることがないし、硬派な赤ワイン好きにも納得される事請け合いの、圧倒的な凝縮感が根底に在る。穏やかな波間を優雅に漂いながらも、広大で遙かな大海に抱かれているような、豪華客船に乗るような壮大なスケール感がある。
コスパ良し、充足感高し、万人に愛され得る、即ち、誰もにお薦めできる素晴らしい一本である。
満足度 : ★★★★☆
※購入時の価格による査定。
本文後のタグから、同じようなワインに飛べるようになっています。
また、インデックス頁から俯瞰した閲覧もできます。↓
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