外観
澄んだ輝きの、深いガーネット。
エッジにはまだ紫が残り、経年の浅さを感じさせる。
粘性は強い。傾けるとはっきりとアーチとラルムが見られる。
香り
香りはしっかりと感じられる。
ブラックベリーやダークチェリーといった黒い果実。
針葉樹や血液を思わせるニュアンスも。
第一アロマ・第二アロマの入り交じった複雑な、どちらかといえば陰性の香り。
味わい
アタックはやや強め。
酸ははっきりとしているが穏やか。まろやかで凝縮感のある果実味が前面に出ている。
タンニンは緻密で溶けこんでいるが、存在感のあるコクをもつ。アルコールはアッパーで賑やか。
全体的に、力強い個性に対して飲みやすく調律されていることを伺わせる、スマートで高級感のある仕上がり。
余韻はやや長め。舌の奥に果実の仄甘さが続く。
総評
リッチだがスマートでもある、ミディアム寄りのフルボディ。
供出温度は18度程度、グラスは中程度以上のものであればよいだろう。
デキャンタージュは不要、抜染してすぐに楽しむことができる。が、多少の時間を置いた方が味にまとまりが生まれるだろう。
南米のワインは、チリやアルゼンチンのイメージなどからパワフルなものを想像しがちであるが、この作品は少し違う。
非常に滑らかでスマートなタンニンと、はっきりとした果実味。特筆すべきは非常にクリアで雑味のない味わい。元も子もないことを言えば、一口で「高級ワイン」とわかるクオリティである。
一方で、アルコールはアッパー気味(といってもそこまでではないが)で、ニューワールドらしい側面も垣間見える。
カベソーやシラーが「香草」感のある香りなら、こちらは「果実」感が強いあたりも、ウルグアイという土地柄を感じさせる。
ウルグアイのワインは、少なくとも日本においては全くメジャーではなかろう。ひょっとして、タナという品種にも馴染みがない方が多いかもしれない。かくいう私もこの国のワインは今回初めて口にした。
印象としては、「日本で言えば、九州っぽさがあるワイン」というものだった。欧州のワインほど輪郭が鮮明でなく、果実感が強い。どちらかと言えば厚みがあり、ぽわんとしている。
それをどう評価するかは人によるだろう。間違いなく美味い。しかし、私のように伝統的フランスワインをお手本として勉強してきた身からすると、これで1万円?というのはいささかオーバープライスにも思えてしまった。
あまり初心者にはお勧めしない。ある程度国や品種ごとの特徴を理解した上で、コスパを気にせず、新しい扉として試してみるのが正しい楽しみ方のワインだと言えるだろう。
満足度 : ★★★☆☆
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