外観
透明な輝きのある、やや濃い目のルビー色。
エッジの紫は少しとれてきており、多少の経年を感じさせる。
粘性は強め。傾けるとアーチとラルムが見て取れる。
香り
香りはしっかりと立ち昇ってくる。
カシスやブルーベリーといった青い果実、スミレの花。
山ぶどう特有の、酸味とスパイシーさを兼ね添えている。
第一アロマが中心と思われる、比較的ストレートな陽性の香り。
味わい
瑞々しい酸。充実した果実の甘味が中心に感じられる。
アルコールは控えめで角が立っていない。
タンニンは緻密で溶け込んでおり飲みやすいが、コクという形で存在はしっかり感じられる。
全体的に、円やかで華やか、生き生きとした葡萄の良さがそのままストレートに表現されているように感じられる。
余韻はやや長め。下の奥に、タンニンのほろ苦さを感じられる。
総評
フレッシュ&フルーティ、生き生きと心地よいミディアムボディ。
供出温度は17度弱、グラスは中からやや大きめの物があればよいだろう。
デキャンタージュは不要だが、最初はかなり酸が強いので、苦手な方は多少置いてまとまりが出てからの方が楽しめるだろう。
実に日本の赤ワインらしい造りだと言えよう。
酸による輪郭が曖昧でぽわんとした柔らかさ、アルコールもタンニンも控えめの口当たりの優しさ、
何より、山ぶどうというおそらく日本オンリーワンの個性がストレートに表現されており、間違いなく世界でここだけの味わいである。
福井県の位置柄、新潟に近いイメージでいたが、概ね正しかったと思う。
更に追記するならば、造りがとても丁寧で、飲んでいて不快なところが全くないところだろうか。
それぞれの要素は主張が強いわけではない。酸も甘みもアルコールもタンニンも、全てが適度、全てが丁寧に調整されている。
酸っぱい、苦い、渋い、そういったネガティブな要素がしっかりと取り払われ、山ブドウという品種の特徴を何も邪魔することなく、ストレートに引き出している。
個の活躍よりもチームプレイに徹したというような、ここでも「調和」という日本らしさを感じられる。
その分ややお高いのは、もはや仕方があるまい。何度も言うように、規模の経済の効かない日本のワインは、イタリアやアメリカなどのワインと比べて割高になるのは避けられぬことだ。特に赤ワインは。
ここは素直に、日本ワインでこれだけの素晴らしいクオリティを出すには、この価格が必要なのだと受け取るのが正しかろう。
しかしそんなワインも、ふるさと納税なら実質2000円負担で飲めてしまう。素晴らしすぎる。
私のようにどうしてもコスパを気にして手を伸ばしづらい方は、是非ふるさと納税してみていただきたい。
満足度 : ★★★☆☆
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今後もっと日本ワインをレビューしていきたいと思います。是非ご覧ください。
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