外観
澄んだ輝きの、濃いルビー色。
エッジの紫はとれかかっており、それなりの経年を感じさせる。
粘性は強め。傾けるとアーチとラルムが見られる。
香り
香りはしっかりと感じられる。
カシスやラズベリーといった青い果実、スミレを束にしたような芳醇な香り。
仄かにシナモンを思わせるスパイシーなニュアンスも。
第一アロマが主体と思われる、複雑な、どちらかと言えば陽性の香り。
味わい
アタックは比較的穏やか。
はっきりとした酸。瑞々しい果実味と、それとは対照的な力強いタンニンが特徴的。
アルコールは控えめ。全体的にはすっきりとしており飲みやすい。
余韻はやや長め。舌全体にタンニンの上品な渋みが続く。
総評
リッチだがフルーティで飲みやすくもあるフルボディ。
供出温度は18度程度、グラスは中~大ぶりのものがよいだろう。
デカンタージュは不要。抜栓してすぐに楽しむ事が出来る。
エジプトでもワインを作っているのかと驚くが、緯度は30度と過去にレビューしたモロッコやイスラエルと近く、葡萄栽培に適した緯度範囲(北半球は30~50度)を表す「ワインベルト」にもしっかりと当て嵌まっている。
また、古代エジプトにおいてワインはファラオに献上された酒でもあり、その歴史はとても古い。よくよく思い起こせばワインのメッカと言える国なのである。
私もエジプトワインは初体験なので、この一本がどれだけ平均値に近い味わいなのかは分からないものの、既知の国の中で最も味わいが近いのは「南アフリカ共和国」だと感じた。
暑い地域ほど糖度は高くなる傾向にあるし、複数品種をセパージュすれば複雑味が増してヘヴィなものになりやすい。しかしこのワインで特筆したい点は、アルコールが穏やかで口当たりがすっきりとした、「クール」な印象であるという点である。そして奥行きがありつつもプティ・ヴェルドの要素のお陰か、比較的ポップで飲みやすい。実に「こなれている」感じとでも言うべきか、計算してこの味わいを目指して作られたことを思わせる緻密なバランスが感じられた。
販売元の紹介文によれば、「醤油味の和食とも好相性!」とのことだ。なるほど、確かに醤油のコクと共通点のある味わいかもしれない。昨今は刺身や寿司に赤ワインを合わせたりもするそうだが、このようなワインがとても合うのではないだろうか。
おそらくこの味わいを苦手という人は少ないであろう、ハズレない一本として広くお薦めできる。
また抜栓してすぐに飲める手軽さや、単独で飲んでも飽きない豊潤さがある。このクオリティで2000円台はかなりのハイパフォーマンスだと言えるのではないだろうか。
満足度 : ★★★★☆
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