この世は、地獄の一丁目か

雑感
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私が利用している某カード会社から郵便が届きました。
何かと思えば、「キャッシングサービスご利用可能枠設定のご案内」ということで、
にこやかに地獄への招待状を送りつけてきたのでした。

拝啓 時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。

日頃よりXXXXカードに格別のご愛顧を賜り、厚くお礼申しあげます。

さて早速ではございますが、お客様がお持ちのXXXXカードはキャッシュカードの機能だけでなく、クレジットカードとしてキャッシングサービスをご利用いただくことが出来る大変便利なカードです。

キャッシングサービスはXXXX銀行や国内外にあるATMで現金を引き出せるサービスでございます。また、WEBからのお申し込みでお客様の口座へご希望の金額をお振り込みする「オンラインキャッシングサービス」もご利用可能です。急な出費の際や、海外で現地通貨が必要となった場合など、さまざまなシーンでご利用いただくことができます。

お客様がお持ちのXXXXカードにも、お手続き費用かからずにキャッシングサービスの設定が可能でございます。大変お手数ではございますが、お申し込みは同封の振込用紙またはお電話、WEBで承っておりますので、ぜひこの機会にご設定くださいますよう、お願い申しあげます。

XXXは、これからもお客様の暮らしをサポートしてまいります。

末筆となりますが、お客様のますますのご健勝とご活躍をお祈り申しあげますとともに、今後とも変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。

そして記入例には、当然の様にリボ払いへの誘導が。

物凄く綺麗な言葉で、さも親切を致すかの如きお手紙をいただいたわけですが、
余りに欺瞞に満ちた蛮行に、怒りが抑えられません。

言うまでも無く、「キャッシングサービス」とは唯の「借金」に他なりませんし、
「リボ払い」とは、利用者の目を盗んで鬼のような複利を毟り取るシステムです。
「月々4,000円」などと迷彩していますが、実質年利は驚愕の15%
某大手消費者金融の年利が最大18%、「利息制限法」の上限金利が15~20%であることを思えば、
違法スレスレに設定された、まともな企業の所行ではないことがよく分かるのではないでしょうか。

何より腹立たしいのは、この仕組みを知らない人を、明白にミスリードしようとしている点です。

・「借金」「金利」などの誰でも危険だと分かる言葉を避け、
代わりに「キャッシング」「リボ」などの不明瞭な横文字で迷彩している。
・キャッシングの設定はさも当然のものであり、
利用者の利益になることであるように錯覚させようとしている。
・リボ払いの記入例にデフォルトで表記するなど、設定を誘導している。
・キャッシング、リボによる影響、一括払いとの差異や利用者への不利益について、
一切説明しない。

特に酷いのが3点目、記入欄のミスリードです。例えば、下記のような書き方です。

ご希望のお支払いコースをチェックで選択してください。
[キャッシングリボお支払いコース] □ゆとりコース(4,000円~) □標準コース(10,000円~)

キャッシングとリボ払いは別物であるため、リボを使うかどうかは選択できるはずです。
しかし、「チェックしなくてもいい」とは書かず、「不要」といった選択肢も用意せず、
ただ「ご希望のコースにチェック」とあるのです。
これは明らかに、「どちらかを選ばないといけないんだな」と誤認させるための誘導です。

ここまで入念にやってくれると、もはや詐欺としか思えません。

こういうことを言うと、ひょっとして反論もあるかもしれません。

企業の営利活動の範囲内のこと。
法律に違反しているわけではない。
サービスが魅力的に思える言葉を使うのは当然のマーケティング。
そもそも強制している訳ではないのだから問題ない。
このサービスを利用して助かっている人もいる。
こういうサービスで利益が出るから、他のサービスや株主に還元できる。
物を知らないやつが悪い。
内容も把握せず申し込むやつが悪い。

言っていることはよく分かります。おそらく間違ってはいないのでしょう。
しかし私は、これらが間違いではない世の中こそが間違っているように思えてなりません。

そもそも私は、キャッシングやリボへ誘導することを「企業活動」だとは思いません。
金を借りようという気すらない人を、意図的にミスリードさせ欺き、設定に誘導することは、
カード会社は何一つ汗をかかず、サービスなどの価値を一切生み出すこともなく、
唯々、カモから金をせしめるためだけの行為だからです。

そしてそれに引っかかるのは、悪人でも罪人でもなく、
たまたまそれに関して無知で無関心のまま言いくるめられてしまった、ただの普通の人なのです。

こんな欺瞞がまかり通り、日本を代表する大企業が当然の様にそれを行使し、
それが咎められることもなく、普通の人が膨大な不利益を被り、いずれ破滅させられる。
この企業はおかしい、そして世の中もおかしい、そう思わずにはいられません。

最後に、私の大好きな言葉を、
この欺瞞に満ちた世の中へのアンチテーゼとしてご紹介して終わりたいと思います。
この文を、カード会社に見せてこういいたい。「恥を知れ」と。

私はシスターからずっと言われてきました
人は何のために働くのか
誰かが自分を必要とし 自分も誰かの役に立てる
つまり人が互いに価値ある存在だと確かめ合う
そのために仕事はある 人はそのために働く
今 私はそう信じて 日々 毎日を生きています

 

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