キングオブコント2022の評論家ごっこ(感想)

お笑い評
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毎年恒例、キングオブコント2022を観ました。

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今年はテレビを処分してしまったので、リアタイで視聴する事ができず、翌日にTVerで視聴しました。
今年は本命不在という印象で、正直誰が勝つのか全く予想がつきませんでした。結果を見ても、「えー、こうなるんだ」という感想でした。
そんな先の見えない大会について、ネタごとに私の感想を振り返っていきたいと思います。

見逃し配信↓

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※サムネでネタバレされるので注意・・・

決勝10組

クロコップ

クロコップ|バラエティ|所属者一覧|ケイダッシュステージ公式WEBサイト
原口あきまさ・オードリー・スザンヌなどが所属する芸人・タレントなどのマネジメント会社。東京都渋谷区、ケイダッシュステージのオフィシャルウェブサイト。

クロコップ / ホイリスト

山内 秋山 小峠 飯塚 松本 [合計]
90 93 94 90 93 460
個人的点数 65
[概要]遊戯王カードバトル+あっち向いてほい

【クロコップ】キングオブコント2022披露ネタ「ホイリスト」
[感想]

○音楽に乗せた軽快な動きに爽快感があり、見ていて楽しい。
×単調。カード効果という多少の変化はあるも、基本はずっと同じ事の繰り返し。
×上記の原因でもあるが、実質は遊戯王のパロディなので、そもそも入り口が狭い。興味のない人には同じような事を延々と繰り返しているように感じられるし、何よりやっていることが幼稚に見えてしまう。人を楽しませるネタという点では特に文句はないのだが、賞レースでこういう題材は評価されづらいだろう。
○ラストのヘリに乗るパントマイムが上手く、絵が広がった。

[総評]

勝ちを狙うネタとしては不適と言わざるを得ないし、トップバッター向きのネタではなかったように思う(理想は王道ストーリーコントの後だっただろう)。ただし、遊戯王好きには刺さっただろうし、彼らを好く認知する人はかなり増えた事だろう。何を以て勝ちとするかは当人達次第といったところだろうか。

ネルソンズ

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ネルソンズ / 結婚式

山内 秋山 小峠 飯塚 松本 [合計]
96 92 92 94 92 466
個人的点数 63
[概要] 花嫁を奪いに来た元カレが乱入。

【KOC決勝ネタ】ネルソンズ コント『結婚式』
[感想]

×花婿役であるツッコミ役の口調・台詞が芝居がかりすぎて、どうも最初から最後まで作り物っぽさを感じてしまった。芝居とツッコミとでメリハリがあればよかったと思う。
○「なんで今来た、二次会だぞ」で完璧に見えた元カレの見方が変わるという、叙述的展開が見られた。
×ありがちなシチュエーション、予想を裏切ってくれない展開。今の時代に改めてこの題材を選ぶ理由があまり見い出せなかった。

 

[総評]

どういうコントだったかを説明しろと言われれば、「あらすじの通り」と言う以外にない、個性に乏しく記憶に残りづらい内容だった。あらゆる台詞にキラーワードと呼べるものがほとんどなかったことも原因の一つだろう。この3人でしか生み出せないものを見せて欲しかった。

 

かが屋

マセキ芸能社所属タレント
かが屋

かが屋 / アタリの強い会社の先輩

山内 秋山 小峠 飯塚 松本 [合計]
94 93 93 92 91 463
個人的点数 80
[概要] 後輩のためにドSを演じる先輩と、パワハラに見えてしまうことを心配するドMの後輩。

[感想]

○2人の見えない思惑が交錯するという構図がもう既に面白い。
○ドア1枚挟んで別室を表現する絵面が斬新でよかった。個人的には2回と言わず、もっと活用してもよかったと思う。
○途中、「知ってるんですか!?」の台詞の口調だけを変えて笑いが起きている。何気に凄い事だと思う。情緒表現が素晴らしい
×2回目の電話で世界観の説明が出揃った後が、敷かれたレールを走るような既定路線に終始してしまった。結果、後半が尻すぼみになってしまったと思う。更なる新展開が欲しかった。

[総評]

秀逸なシチュエーション設定と舞台の使い方、さすが決勝常連の実力派だなと感じた。しかし、既に手の内も実力も見せてしまいハードルが上がっている以上、もはや並の作品ではKOCで評価されるのは難しくなってしまっていると思う。特に、後半は彼らの自己ベストには全く達していなかったと感じた。前半までは傑作を予感させる題材だっただけに、とても惜しかった。

いぬ

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いぬ / 夢の中で

山内 秋山 小峠 飯塚 松本 [合計]
91 94 90 89 95 459
個人的点数 60
[概要] パーソナルトレーニングのトレーナーと生徒がキスする。

いぬ「夢の中で」(キングオブコント2022 決勝ネタ)
[感想]

×おっさん同士がキスすることで笑いをとるスタイルは、もはや賞レースでやるべきではない。ネタとしても安直で使い古されているし、ジェンダー思想においても時代遅れと言わざるを得ない。
×普通に歯がぶつかって折れそうとか思うと、見てて怖い。笑うどころじゃないので普通にやめてほしい。
×古くさい回想への移行方法が何かのオマージュにもアイロニーにもなっておらず、ただ単純に能がない。しかも一度ならまだしも二回やられると更にきつい。
×全く新しい展開がないものを延々と見せられて苦痛だった。
○最後の腹筋できないけど頑張る的な演出は、ちょっとドラマ的でよかった。

[総評]

おそらく狭い劇場でネタを育ててきたのだろうか。ネタには、その場限り・自分ひとりだけで気兼ねなく笑ってよい環境でこそウけるものと、誰かと場所・時間を共有しながら見てもウけるものとがあり、その2つの内容は全く異なるものであると思う。このネタは間違いなく前者。所謂「キワモノ」であり、少なくともこういった賞レースでは全く評価に値しない。劇場の単独でやれ。

ロングコートダディ

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ロングコートダディ / 料理頂上決戦

山内 秋山 小峠 飯塚 松本 [合計]
92 95 92 92 90 461
個人的点数 66
[概要] シェフの帽子が落ちてしまい、テレビの入場シーンが決まらない。

【コント】料理頂上決戦/ロングコートダディ
[感想]

×「言っても分からないヤバい奴」は見ていても笑いとかではなく、イライラしか起きない。実際こういう人いるけど、面白いとは思えない。逆にそういう人を笑いものにするのはどうなのかという気さえする。
特定の言葉の繰り返しと、それに対するツッコミが上手いので、記憶に残る。
×特に驚くポイントがなく、始まったときの印象のまま終わっていった感。良く言えば古典的天丼、悪く言えばありきたりで冗長。

[総評]

M-1の「肉うどん」は彼らの言葉の使い方の上手さが前面に出た良作だったが、何故コントになるとこうもテンポが悪く苛立つものになってしまうのか。おそらく、兎がボケに回っているからだと思う。彼のヤバい奴キャラはボケに回ってしまうと、笑う事のできないほど唯々本当にヤバい奴だ。是非ボケとツッコミの入れ替えを検討いただきたい。

や団

BEACH V オフィシャルサイト
BEACH V オフィシャルサイト。インフォメーション、劇場のご紹介、タレント一覧、スケジュール、ムービー、チケット購入、タレント募集、出演依頼などの情報を掲載。

や団 / バーベキュー

山内 秋山 小峠 飯塚 松本 [合計]
93 95 93 95 94 470
個人的点数 85
[概要] バーベキューで死んだふりドッキリを仕掛けたら、遺体遺棄工作が始まった。

【や団】コント「バーベキュー」キングオブコント2022 決勝ネタ
[感想]

・始まって早々、喋り方・シチュエーション説明の仕方の東京03感が凄かった。好きなのかな?
○死んだふりも遺棄工作も、中途半端にならず突き抜けており、引き込まれた。
○展開は単調と言えば単調だが、シチュエーションが斬新であること、普通は遺体遺棄の定番など知らないので先が読めないことから、飽きがなく見られる。
○右の人、友達の顔とシリアルキラーの顔とのギャップが素晴らしい。演技力が非常に高い
×ツッコミがわざとらしい。芝居がかっているというか。隣の遺体遺棄の迫真の演技と比べてしまうとよりそれが浮き立ってしまっているように見えた。

[総評]

個人的にはこの日、一番面白かったネタ。遺体遺棄に走るヤバい奴に加えて、死体のフリどっきりを続けるという2人のヤバい奴を置いているところが、このトリオの個性と言えるだろう。コンビに比べてボケの量もツッコミの量もストーリー展開も増やせており、3人であることのメリットをフル活用した素晴らしい構成だった。
強いて言うなら、前半の穏やかな導入と対比させる形で、遺体遺棄のシーンはツッコミを中心にもっとテンポ良く進めて、勢いを出しメリハリを分かりやすくしたら良かったのではないかと思った。

ここまで番組的に盛り上がりが弱くダラダラ来ていた印象だったが、この組で遂に熱を帯びたのが如実に感じられた。ネタはもとより番組的にも良い仕事をした、この日のMVPだと思う

 

コットン

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コットン / 証拠

山内 秋山 小峠 飯塚 松本 [合計]
96 96 91 91 96 470
個人的点数 84
[概要] 浮気現場から証拠を隠滅するプロフェッショナルの仕事っぷり。

コットン コント『証拠』/キングオブコント2022決勝ネタ
[感想]

○演者側が2人とも楽しそう笑。
見ていて不快なところがない。下ネタも出てきているはずなのに、爽やかさが崩れていないのはキャラクターのつくりが良いからだろうか。
×「プロフェッショナルであること」がこのネタの核であったが、男になりすますところ以外は大したことをしていないのが残念。もっと説得力を持たせられる演出が欲しかった。
×おばちゃん設定は必要だったかが疑問。女性・男性を演じ分けたいのは分かるが、「凄いプロフェッショナル」を演出したいはずなのにノリが軽く見えてしまった。そのため、全体的にふわっとした印象になってしまったように思う。

[総評]

「架空のとんでも職業」を扱うコントは少なくないが、「浮気現場から証拠を隠滅するプロ」というシチュエーションはかなり珍しいのではないかと思う。そしてそんな爽やかとは言えない題材が極めて爽やかに仕上がっているのは、ツッコミの人の、ボケに対するリスペクトの結晶だろう。「その職業なんやねん!」ではなく、「この人すげー!」という姿勢で話が進むのが、とても現代的だと感じた。

ビスケットブラザーズ

ビスケットブラザーズ プロフィール|吉本興業株式会社
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ビスケットブラザーズ / 野犬

山内 秋山 小峠 飯塚 松本 [合計]
95 96 97 95 98 481
個人的点数 62
[概要] 野犬に襲われたところを、ヤバいヒーローが助けてくれる。

野犬/ビスケットブラザーズ
[感想]

○渋いのによく通る、とてもよい声をしてる。
×キモいヒーロー設定も、洋画オマージュも、要素の全てがどこかで見た事のあるもので、オリジナリティがあまり感じられなかった。
×展開はあるのだが、驚きや笑いよりも、なんで?という感想しかなく、ついて行けなかった。
×昨年の空気会談の火事コントと方向性が被っている。「半裸のおっさん」「ピンチ」「洋画的な台詞」などなど。ネタとしてはダメとは言わないのだが、番組的にこれを最大に評価してしまったのはどうかと思う。

[総評]

本人達もコメントしていたとおり、「何が面白いのかわからん」というのが感想。残念ながら、私の評価観点からはこのネタの良さは見いだせなかったし、私にはそれが少数派だとも思えない。それでもウケたのは、や団、コットンが場を暖めてくれたところによるものが大きい気がする。例えばこの日の1~3番目のどこかでこのネタを披露していたとしたら、点数的にかなり下の方にいったのではないかと思えてならない。そう思うとこの大会は、悪い意味で出順の影響が大きすぎると思う。

ニッポンの社長

ニッポンの社長 プロフィール|吉本興業株式会社
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ニッポンの社長 / 人類再生計画

山内 秋山 小峠 飯塚 松本 [合計]
89 93 92 91 90 455
個人的点数 78
[概要] 新世紀ロボに乗れと迫られ、その気になったら「やっぱええわ」とスかされる。

【キングオブコント2022最下位ネタ】ニッポンの社長のコント「人類再生計画」
[感想]

エヴァンゲリヲンのパロディ。まぁ知らない人はいないだろうし、知らなくても分かるといえばそうなので、デメリットとまでは言えないのかもしれないが。
×「やっぱええわ」となる流れに合理性が弱い。乗らないことをオチに出来るのはエヴァを下地にしているからであって、単体で見ると理由付けがなさすぎる。理不尽であるほど面白いというなら細々とした設定を語る必要がなく、どちらつかずで中途半端
×悪く言えば「音楽の力に頼った顔芸」。脚本が、顔芸のためにフリとして無理矢理用意した程度のものにしか思えなかった。
○自動販売機にすら拒絶されるシンイチくん笑。そういうメタな展開がもっとあればよかったのに。
×テンポが悪いと感じた。顔芸中の音楽の尺が長いので、それを立たせるにはもっとボケの間を詰める必要があったように思う。
×科学者の方、台詞が棒読みすぎ。
×オチが弱い。と言うか意味がわからない・・・

[総評]

出来としては最下位になるほど悪くはなかったと思うが、3年連続出場によってハードルが上がっていたことに対するものだろうか。確かに、ケンタウロス、バッティングセンターという過去の振り切れた名作に比べると、中途半端でインパクトに欠けるものだったように思うし、彼らの得意とするタイプのネタではなかったようにも思う。しかし、この酷評は実力が認められているからこそのものだろう。突き抜ければ普通に優勝を狙えるポテンシャルを持ったコンビだと思う。

最高の人間

Yahoo!ニュース
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最高の人間 / テーマパークのスタッフ

山内 秋山 小峠 飯塚 松本 [合計]
91 92 93 93 93 462
個人的点数 85
[概要] テーマパークで人を楽しませる側になるために、スタッフの人格を破壊する。

[感想]

史上初、即席ユニットの決勝進出
○ツッコミ不在、ボケと「具体例」という稀なスタイル。
シニカルな題材のチョイスが素晴らしい。
○そんな前半からの、まさかの超展開が劇的で素晴らしい。
吉住の演技の緩急がすごい。さすがTHE Wのチャンピオン、地力がある。
○猟奇的なようでいてしっかり計算されている、クレバーなシナリオ
×回想シーンは要らなかったような。もっと2人の対立を深掘りした方がドラマティックだったと思う。
×オチが残念。考えることから逃げたなという印象。しっかり劇的に仕上げて欲しかった。

[総評]

ネタの題材という意味では、この日最も独創的で最高にスリリングで秀逸だった。中盤までは優勝ものの勢いだったと思う。即席ユニットからこれだけのものが生まれるとは。やはりコントの命は脚本だなと改めて確信した。それだけに、ああいうオチに妥協してはいけなかったと思う。コンセプトは最後まで貫いていただかないと。

ファイナル3組

や団

や団 / 雨

山内 秋山 小峠 飯塚 松本 [合計]
95 94 94 96 94 473
(計943)
個人的点数 84
[概要] 予報をはずした気象予報士と、予報のせいでずぶ濡れになった人が邂逅。

【や団】コント「雨」キングオブコント2022決勝ネタ2本目
[感想]

○シチュエーションにリアリティがあり、とてもいい着眼点だと感じた。
○開き直っちゃった人以上にヤバイ人が出てくることで話が展開する点が秀逸。
×ツッコミがわざとらしい。ひとりだけ劇ではなくお笑いをやっているような、浮いている感じ。
×意外とスケールが小さく収まってしまった。脚本にもう一つ爆発ポイントがあれば最高だったと思う。

[総評]

「予報をハズした気象予報士がツメられる」というのがこの話のポイントであったはずなのに、途中から「単にフラれた人」「それよりヤバいソラカラちゃんの中の人」と、話がどんどんズレていってしまったのが残念。展開するのはいいのだが、軸がないと喜怒哀楽の整合性がつかず、見ている側が取り残されてしまう。
そしてやはり気になったのはツッコミと他2人のギャップだ。個人的には、劇に寄せるならツッコミの態とらしさはどうにかした方がいいと思うし、あくまでコントだというならボケのスケールが小さい、もっとぶっ飛んだことをしてもいいと思う。
総じて、長年やっているとは言いながら、まだ未完成のトリオだと感じた。大衆の目に晒されたこの大会を切っ掛けに、スタイルや脚本がブラシュアップされれば、更なる高みに至れることだろう。これから1年の活動に注目したい。

コットン

コットン / お見合い

山内 秋山 小峠 飯塚 松本 [合計]
96 95 95 95 93 474
(計944)
個人的点数 77
[概要] お見合いした女性がめっちゃ煙草を吸う。

[感想]

△確かに面白いのだが、女性が煙草を吸ってるだけなのに何故面白いのだろう?・・・一般的に煙草を吸う女性は好まれないという認識が背景にあるのだろうか。そう思うと、これを素直に笑いとして評価していいのかちょっと分からなくなる・・・
○そんな女性を腐すのではなく、全肯定する男性がとても爽やか。傷つけない笑いが実に定着してきたなと感じる。
○オチの煙の指輪がとてもお洒落

[総評]

所謂キャラクターコントというのだろうか。煙草を吸う女性にのみフォーカスを当てた一本勝負、好き嫌いの分かれる形式ではないかと思う。優勝を狙うのならば、そういった評価の割れるネタをファイナルでやるのは、個人的にはイマイチ賛成できない
2本のネタを並べてみても、飛び道具的な驚き要素のあった1本目に比べて、あまり盛り上がる箇所のない地味な印象だった。10分くらいかけてじっくりやるべきネタではないのかなと思ったり。
キャラクターの演じ分けに自信があるようで、確かにこの日一番評価されていたポイントはそこだったと思う。この路線を突き詰めていくのか、それとももう一つ要素を加えて複合的に作品の完成度を高めていくかで、このコンビの行く末は大きく変わってくると思う。来年の今頃にどういう形に結実するのか楽しみ。

ビスケットブラザーズ

ビスケットブラザーズ /ぴったり

山内 秋山 小峠 飯塚 松本 [合計]
95 96 96 97 98 482
(計963)
個人的点数 71
[概要] 女友達のフミコがダイスケだった。

ぴったり/ビスケットブラザーズ
[感想]

○やはり声の良さが強い。ドタバタしていても不思議な安定感があるので、不思議と最終的な印象が良い。
×脚本は意味不明、理不尽、奇想天外。それが面白いようでもあり、いややっぱり分からん。

[総評]

ビスブラは昔から好きで注目していたので、優勝して良かったという気持ちではあるのだが、「これが優勝に相応しいコントなのか・・・?」という思いのぬぐい切れない、言いようのない引っ掛かりを感じてしまう。
しかしつくづく思うのは、舞台は水物であるということ。出順もそうだし、ファイナルに残った残り2組が脚本重視・キャラクター重視と被らなかったことで個性が際立って見えたことが勝因として大きいのではないだろうか。勿論、運も実力なのだが。

 

総評

最終的な、審査員(と私)の点数のまとめは下記の通り。
(赤は審査員毎の最高点、青は同最低点。)

No. 演者/演目 山内 秋山 小峠 飯塚 松本 [合計]
No.1 クロコップ / ホイリスト 90 93 94 90 93 460 65
No.2 ネルソンズ / 結婚式 96 92 92 94 92 466 63
No.3 かが屋 / アタリの強い会社の先輩 94 93 93 92 91 463 80
No.4 いぬ / 夢の中で 91 94 90 89 95 459 60
No.5 ロングコートダディ / 料理頂上決戦 92 95 92 92 90 461 66
No.6 や団 / バーベキュー 93 95 93 95 94 470 85
No.7 コットン / 証拠 96 96 91 91 96 470 84
No.8 ビスケットブラザーズ / 野犬 95 96 97 95 98 481 62
No.9 ニッポンの社長 / 人類再生計画 89 93 92 91 90 455 78
No.10 最高の人間 / テーマパークのスタッフ 91 92 93 93 93 462 85
F1. や団 / 雨 95 94 94 96 94 473
(943)
84
F2. コットン / お見合い 96 95 95 95 93 474
(944)
77
F3. ビスケットブラザーズ /ぴったり 95 96 96 97 98 482
(963)
71

こうして書き出してみるとよく分かるが、相変わらず審査員の点数の幅が狭いなと感じる。ほとんどが高低差7~8点の間に収まっており、最も高低差の少ないロバート秋山に至っては僅か4点の間で審査を行なっていることになる。勿論、差が大きければ良いというわけではない。ひとりの審査員の意見が通りやすくなってしまうからだ。あくまでこの差は平等でなければならない。そう思うと、最低限の平等性は確保されているように思えるが、似たり寄ったりの点数になりがちで面白みがないのが欠点だと言えるだろう。

さて、昨年は圧倒的本命の空気階段、それに三冠を狙うマヂカルラブリーが待ったを掛けられるか、というドラマティックな図式だったのに対し、今年は本命不在・誰が勝つのか先の読めない展開に惹き付けられた。
終わってみればビスケットブラザーズが史上最高得点を獲得して圧勝した形だが、実態としてそこまで差がついていたようには思えない。や団コットンのそれぞれの個性や工夫は素晴らしかったし、ファイナルに残れなかった組の中にも、輝くアイディアを体現している組は幾つもあった。

では何が勝機を分けたかと言えば、一つは出順といった運、もう一つは「自己ベストを出せたかどうか」であろう。

「自己ベスト」とは、必ずしも相対的でなくてもよいことを意味する。即ち、その組にとってこれ以上ないものが発揮できていたか、という点は、優勝という栄誉を与えるにあたっては非常に大事だということだ。
例えば、や団は脚本重視のネタだったわけだが、後半のシナリオにはまだ改善の余地があるように思えたし、ツッコミに違和感があり、完全体というには粗が多い印象だった。コットンはキャラクターコントとして揺るぎない個性を発揮したが、一方でそれ一つで万事を飲み込むような勢いがあったわけでもなく、脚本などにもう一つ二つ武器がほしかったという気持ちだった。こういった「不足感」を抱いてしまうと、優勝者として世間に送り出すのは躊躇われてしまうことだろう。消費者は今後、チャンピオンに「優勝=完成品」としてパッケージされたものを期待して貪るからだ。

その点、ビスケットブラザーズの個性は突出しており、完成されていた。発生や間の取り方にも安定感があり、多少脚本が変わろうが何をされようが、彼らが彼らである事は変わらないであろうと思える芯の強さが感じられた。私が審査員としてというより、芸能界のプロデューサー的な立場から優勝者を選ぶのなら、間違いなくビスブラに票を投じるべく動いた事だろう。

惜しむべくは、それを上回っても全くおかしくないはずの多くの実力者達が、その実力を最大限発揮する事無く散ってしまった事だ。それは或いは「運」に依るものだっただろう。しかし勿論、運も実力である。したがって私としては、ビスケットブラザーズの優勝に全く異論は無い。

 

全体的には、コロナの影響も感じさせる事無く、従来の大会の姿が戻ってきたようにも思えた。
歓声のある舞台はやはり良い。活力が感じられ、こちらも元気になれる。笑顔や笑い声に触れられると、こちらも笑顔になれる。今後も日本に活力を与えてくれるイベントとして、大切に開催されていって欲しいなと思う。

終わりに

というわけで、キングオブコント2022の審査員ごっこ(感想)でした。

個人的には、平均的に面白いなとは思いつつ、飛び抜けたヒットがなかったような感覚でした。もっと常識を覆すようなぶっ飛んだものが見たかったなーという気持ちはあります。けれど、年々レベルが上がっていくのは素直に凄いですね。このままあと10年続いたら、どんなことになってしまうのでしょうか。

ちなみに、今年はTVerで視聴したのですが、せっかく前日から情報を遮断していたのに、呆気なくもサムネで優勝者をネタバレされました。控えめに言って最低の嫌がらせです。設定したスタッフは懲戒解雇で(笑)。

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