キングオブコント2020の感想

お笑い評
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お笑いマニアを自称しています。
大学生時代、暇に飽かせて当時のネタ番組を録画編集し、
マイベストネタ集を作ったりしていました。

9月26日に「お笑いの日」と称して、8時間お笑い生放送があり、
そのトリとして、キングオブコント2020の決勝が開催されました。
その私目線の採点と感想を書き留めたいと思います。

決勝10組

1. 滝音 / ラーメン屋 : 81点
[概要] ラーメン屋で親切な接客の店員に対し、無愛想に接する客。
しかし実は大食い大会中で、店員の親切は邪魔すぎる行為だった。
[感想] ○ヤベー客の話かと思いきや、まさかの大食い大会という裏切られる展開。
○冒頭に時間をかけるに値するフリだと思う。
○「サービスの餃子です」「テロやん」
×その後の展開がなく単調。スピードアップすることもなく、盛り上がりに欠けた印象。
○若手でトップバッターであることを思えば、及第点だったのでは。

2. GAG / 入れ替わり : 72点
[概要] 野原でフルートの練習をしていたところ、中島美嘉に遭遇。
そこに野球のボールを追う野手がぶつかり、人格が入れ替わってしまう。
[感想] ×女装がキモい。笑いにならないキモさ。もはや不快。
○三人(とモノ)で入れ替わりが交錯する更生は斬新
×入れ替わる意外の展開がなく、単調に終わった印象。
×ダウンタウン松本の「頭が沸点」に納得。尻すぼみ感。
×中島美嘉なのに曲がLemonという統一感のなさ。
×スピード感がない。遅いので展開を考える時間があるのに裏切りがない。
×曲がバラードであることもテンポ感を落としていると思う。

3. ロングコートダディ / 荷物出し : 60点
[概要] マッチョな先輩作業員が、非効率的な作業をしている。
[感想] ×自分で「見てられないです」とツッコんだ通り、見てられない。
×非効率的な動きを見せられ続けて、唯々苛々する。
×オチが弱すぎる。冒頭にジャブでやるべき程度の小ネタで終わってしまった。
×何を面白いと思わせたいのか。効率悪いことしかできないバカを嘲らせたいのか?
×目新しさや意外性など、何も驚きがなく終わった。

4. 空気階段 / 霊媒師 : 84点
[概要] 霊媒師に祖母の降霊を依頼するものの、ラジオを受信してしまう。
[感想] ○ラジオを受信するという設定自体が斬新で面白い。
○予想を裏切り続ける先の読めない展開が素晴らしい。
○オチ手前からのスピードアップが基本を抑えていて安定感のある面白さ。
×爆笑がなく終わってしまったのは残念。
・この時点で頭ひとつ抜けた点数だったのは納得。
・水川かたまりの最後のコメント「とても幸せな気持ちです」がとてもいいやつっぽい。

5. ジャルジャル / 野次 : 86点
[概要] イベントで歌を披露することになった新人歌手に対し、
野次を浴びせられても歌い通せるよう、練習をする。
[感想] ○「事務所の社長」と「野次」の曖昧な境界線設定が絶妙。
○いつものネタは唯単調な印象だったが、今回はテンポに緩急をつけてきたり、
印象的なフレーズを鏤めるなど、非常にテクニカル。
○オチが王道で綺麗。
・唯々ウザいやつの芝居をする印象だったが、成長を感じた。M-1で掴んだ?
・前の空気階段とあわせて、ようやくKOCという番組に火がついてきた感があった。

6. ザ・ギース / ハープ : 73点
[概要] 職場を去る同僚に別れの曲を送るが、まさかのハープ演奏だった。
[感想] ×楽器がハープという、出オチにも関わらず滑っている。
○効果音としてハープを使うのは意外でよかった
○ハープでドンキの曲、オールスター感謝祭の曲
×唐突な紙切り、小田和正。繋がりがなさすぎて意味不明。
×「糸」は送別の曲じゃないような。ディテールへのこだわりが感じられない。
・録音じゃなく、ガチで弾いているとは思わなかった・・・
・もはやコントとしての面白さとは別のころに行ってしまっている感。

7. うるとらブギーズ / 陶芸家 : 60点
[概要] 陶芸家が、気に入らない壺を割っていくが、勢いで気に入ったものも割ってしまう。
[感想] ×厳格そうな芸術家が途中からふにゃるのがベタすぎ。もはや古くさい。
×単調でボケに捻りがなく、オチも弱すぎて印象に残らない。
×新しさが何もない。勢いだけで作って精査されていない印象。
・総じてレベルが低すぎる。決勝に残れたのは前年実績オンリーと思われてもやむなし。

8. ニポンの社長 / ケンタウロスの恋 : 88点
[概要] ケンタウロスの学生に恋が芽生える。
[感想] ○今日一番ぶっ飛んだコントだった。
×出オチなのにウケてない。
×「なんで俺だけ馬やねん」と、さも馬になったばかりのような台詞なのに、
設定は「三学期やぞ」というミスマッチ感。整合性がない。
○ベタなカラオケが続くのかと思いきや、まさかの牛のままの声。虚を突かれて笑ってしまった。
○キスで呪いが解けて声が人間に → と思ったら呪い移った!
この怒濤の展開が秀逸。今日一番の笑いだった。
○最初の予想を完全に裏切られた。発想が常識外でこれぞお笑い。

9. ニューヨーク / 結婚式の余興 : 50点
[概要] 結婚式で友人が披露する余興の芸が凄すぎる。
[感想] ×音響を使って普通に凄いことをする、という汗をかかない演出は、唯々ダサい。
×超人芸が、言うほど意外ではない。もっと凄いことする人はリアルにいる。
×目新しさも技巧もない。M-1で話題になったから出ただけの奴。
・ネタ前VTRの「お笑いの日?笑えない日にしてやるよ」が有言実行すぎた。
・こんなネタで決勝に行かせるとか、逆に可哀想。と思いきや、まさかのファイナル進出。
KOCの審査員は、設楽と辛うじて松本以外、全く論理的な解説をしないばかりか、
後半にいくほど明らかに高い点をつけている。
番組演出の犬なのか、単に点数に一貫性をもたせられないのか。

10. ジャングルポケット / 75点
[概要] 機密情報を吐かせようと、娘の情報をチラつかせて脅迫しにかかるが、情報が細かすぎる。
[感想] ○脅し方が新しい。アイデアとしてはなかなか。
○急にシンプルな脅しになったりと、緩急がついていたのもよかった。
×アイデアひとつで引っ張りすぎ。
○テンポ感や声の張りなど、基本的な所作で笑いをとれる技術は流石。
×ツッコミ役が乗っかってくる過程がわざとらしすぎる。
×オチがベタすぎる。
・良くも悪くも、ベテランの普通すぎるコント。期待値の高さが逆に失望を買ったか。

ファイナル3組

F1. 空気階段 / 恋 : 71点
[概要] 定時制の学校で、女が後ろの席の男に恋をする。
男はしゃべり方が独特すぎて何を言ってるか分からないが、女だけは分かる。
[感想] ○もぐらのしゃべり方が、それ自体で面白い。何故か笑ってしまう。不思議。
○なのに一カ所だけ、「教えない」が聞き取れたところで爆笑。不思議。
×女の人だけ何言ってるのかを理解できる設定が、どう活かされるのか?
と思っていたら、何もなく終わってしまったのが期待外れで大変残念。
×定時制学校という設定も意味が無かった。
ひょっとしてこのネタ、10分くらいあるやつのダイジェスト?という消化不良感。
・もっといいネタいっぱいあっただろうに、何故このネタを選んだ・・・
・女装のクオリティが、GAGのそれとは段違い。許せるレベル。
・開始が押した理由が「お前の化粧待ちやったんか」は、ネタより面白かった。

F2. ニューヨーク / 頭を刈りすぎたヤクザ : 48点
[概要] 頭を刈りすぎたことで帽子を脱ぐタイミングを失ったヤクザ。
意地になることで事態がどんどん悪化していく。
[感想] ×ダラダラと中身のない、笑いもとれない導入が長すぎる。
×展開が意味不明。無理矢理話を転がそうとしているようにしか見えない。
×ヤマなし、オチなし、意味なし、とは正にこのこと。
×本番直前に本当に頭を刈っているくらいの根性を見せてくれれば、まだ違ったのに。
・2本とも評価ポイントがなかったが、2本目は特に酷い。何故ファイナルに残した。
・バナナマンの評価が異常に高かった。意味不明。癒着を疑うレベル。

F3. ジャルジャル / 空き巣 : 73点
[概要] 空き巣に入るも、大きい音を立てて、滅茶苦茶目立ってしまう。
[感想] ×タンバリンを持って空き巣に入るのも、金庫にタンバリンが入っているのも、
設定にリアリティがなく、意味不明すぎてついていけなかった。
○言葉遊びやリズム感で細かい笑いをとれる点は流石。
×1本目は成長を感じたが、2本目はいつものしつこくウザいだけのネタでがっかり。

 

というわけで、優勝はジャルジャルでした。
ファイナルなのに、大きな笑いも深みも感動もなく、
地味な大会に終わってしまったな、という印象です。

個人的に一番面白かったのは、ニッポンの社長のカラオケシーン。
一方、一番将来性を感じたのは空気階段。去年も思いましたが、普通に人気出そうだと思います。

総評

・全体的に大きな笑いに乏しく、ファイナルもしょっぱく終わってしまった。

目新しさやインパクトもなく、ニューフェイスにも脚光が当たらない、誰得な結末。
今更ジャルジャルが消去法的に勝っても、誰も喜ばないでしょう。

・スピード感のある漫才に比べて、コントは凝った世界観を求められると思う。
なので、4分という時間制限は厳しすぎるのかなと思う。
それが大会のレベルを低くしている原因なのではないか。
決勝10組を半分にして尺を倍にした方が、才能が開花する人が多いのでは。

・思えば、昨年のどぶろっくは、歌ネタというダイナミックな、
4分の尺の最高の使い方をした上で、衝撃的なインパクトを残していたと思う。
それに比べて今年は、こぢんまりとしたネタが終始してしまった。

・しかし、最後に設楽?が「コロナのせいで、事前の調整の効かない大会だった」
と言ってたのを聞くと、なるほどそうかという思いはある。
 素人が偉そうにレビューするよりも、無事開催されたことに感謝するべきなのかもしれない。

・来年は、人が人を避ける必要の無い、熱気のある世界が戻ってきますように。
そしてまた、暖かい笑いの熱気に包まれる大会になりますように。

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