外観
澄んだ輝きのある濃いガーネット。
エッジの紫はほぼ取れており、相応の経年を感じさせる。
粘性はやや弱め。傾けてもアーチにはならず引いていく。
香り
香りはしっかりと感じられる。
ブラックベリー、ダークチェリーといった黒い果実の香り。
黒スグリやマッシュルームのニュアンスも。
第一アロマが主体と思われる、陰性の香り。
味わい
アタックは強い。
酸には丸みがある。熟成したリッチな果実味と、骨太ながら滑らかなタンニンの渋みが、良いバランスで並立している。
アルコールはアッパーであるが、どこか落ち着きがあり、全体的にはエレガントな印象を受ける。
余韻は長い。舌の奥から鼻にかけて、ビターチョコレートのような充実感が続く。
総評
濃縮感・熟成感のあるリッチなフルボディ。
供出温度は18度程度、グラスは大きめの物がよいだろう。
デカンタージュはなくても楽しめるが、コルクが脆いこと・澱が大量にあることから、除去手段は準備しておきたい。
所謂「重たい」ワインというと、渋みや苦味・アルコールが強いもの、というイメージを持つと思われるが、このワインは、さほど渋いわけでも苦いわけでも無く、アルコールもさほど強いとは感じない。どちらかと言えば香り高くて飲みやすいという印象すら残る。
それなのに、非常に「重たい」。
おそらく、果実の凝縮感と発酵期間、そしてタンニンの密度がそれを形成しているのではないかと思う。幾つもの葡萄を絞り集めてエネルギーの塊にした、ブラックホールのような壮大さを感じられる。
ボトルに残る夥しい量の澱がその証左だろう。
ワインショップのサイトでは「ワケあり品」として定価よりも安い価格で購入できたのだが、これが6000円というのはちょっと有り得ない。1万円を超えると言っても普通に信じるレベルの、圧倒的なパワーを持った一品である。
注意点としては、20年物であるためであろうか、コルクが壊滅的に脆かったこと・・・
普通のソムリエナイフで挑んだところ、全く引っ掛からずにボロボロになってしまい、結局ボトルに落とさざるを得ない有様だった。
通販サイトでも「古酒用ワインオープナー」のリンクがワインと同じページに掲載されていることから、偶々ということでもなかったのだろう。
デキャンタを用意するか、見た目は悪くなってしまうが茶こしやネットなど、何らかのフィルタ手段は用意しておいた方が無難だろう。
味わいも準備に要する労力も、やや上級者向けの一本と言えるだろう。
満足度 : ★★★☆☆(9000円台として)
★★★★☆(6000円台として)
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やはり高いワインは美味しい・・・。他のレビューも是非ご覧ください。
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