外観
透明な輝きのある深いガーネット。
エッジの紫には変色が見られ、多少の経年を伺わせる。
粘性はやや弱め。傾けてもアーチは見られない。
香り
香りはしっかりと感じられる。
チェリーやブラックベリーと言った黒い果実の香り。
甘草や血液、なめし皮のニュアンスも感じられる。
第一アロマが主体と思われる、陰性の香り。
味わい
アタックの強さは中程度。
溌剌とした主張の強い酸。豊かな果実味が前面に出ている。
タンニンは存在感はあるが滑らか、アルコールは比較的控えめで飲みやすい。
突出した要素がなく、バランスの整えられた作品。
余韻は長め。舌の奥から鼻にかけて、ヴェジタルな仄苦さが続く。
総評
スマートでバランスの取れたミディアムボディ。
供出温度は18度未満、グラスは中程度以上の物がよいだろう。
デカンタージュはなくてもよいが、酸が強く感じるようなら、少し待って開かせた方がよいだろう。
ボルドー五大シャトーでお馴染みのムートンがつくる2~3千円の大衆向けラインである「ムートン・カデ」。しかしこれは、その中では上級シリーズということで、ややお値段高めとなっている。
抜栓したての状態では、果実・アルコール・タンニンのいずれよりも酸が強く感じた。なものでファーストインプレッションは、とてもライトでシルキー、スマートで飲みやすいワインだな、というものだった。
典型的なカベソーの香りが鼻から抜けるほどに香るが、決して重くはなく寧ろ軽やかに感じられる。良く言えば洗練されて万人受けしそうな仕上がりだが、悪く言えば密度が低くパワーに物足りなさを感じてしまう。
ライトで気品高く、王道的な、「いい意味でよくある美味しい赤ワイン」という大衆性。ムートン・カデのいいところがしっかりと感じられる一本だ。
しかし一方で、3000円台としてならまだしも、5000円台と言う価格から見ると中途半端なクオリティだと言わざるを得ない。
濃いか薄いかは好みによるであろうが、私には密度が低いように思えてならなかった。
であれば、他に候補は数多ある。この没個性に徹した大衆向けの味わいを選ぶ理由を見出すのはなかなかに難しいかもしれない。
満足度 : ★★☆☆☆
本文後のタグから、同じようなワインに飛べるようになっています。
また、インデックス頁から俯瞰した閲覧もできます。↓
他のレビュー記事もたくさんあります。是非ご覧ください。
コメント