外観
やや燻んだ輝きのある、茶色に近い淡いルビー色。
エッジは褐色に近く、かなりの熟成を思わせる。(2020にも関わらず)
粘性はやや弱め。傾けてもアーチは見られない。
香り
香りはしっかりと感じられる。
イチゴやチェリーといった果実、スミレのような小ぶりの花。
赤ピーマンやメントール、ポートや蒸留酒を思わせるランシオ香が感じられる。
第一アロマが主体と思われる、複雑な、陽性の香り。
味わい
アタックは中程度。
溌剌とした酸に驚かされる。
自然な果実の甘みと、主張しないが厚みのあるアルコールが、優しく丸みのある味わいを生み出している。
タンニンは緻密で、コクとして感じられる。
余韻はやや長め。舌の奥に心地よい苦味と、凝縮された優しい果実感が残る。
総評
凝縮感がありフローラルなミディアムボディ。
エレガントで複雑な味わいを楽しめる。
供出温度は18度弱、グラスは大ぶりのものがよいだろう。
デカンタージュは不要、抜栓してすぐに楽しめるが、酸味が気になるようなら飛ばしてから飲むと良い。
「余市の土地からブルゴーニュのスタイルをいかにして生み出せるかについて挑戦したワイン」の言葉の通り、ピノ・ノワールをベースにした華やかさ・エレガントさを軸に据えた一本といえるが、一方で、どことなく輪郭の曖昧な丸みのある甘みは、実に日本的でもある。
「求める骨格が足りず、セカンドワインに格下げ」されたとは思えないほど凝縮感がある。そして2020年物としては不相応なほどに熟成したアルコール感は、教科書的な知識による味わいを悉く裏切ってきてくれる。これがコールドマセラシオンやマロラクティック発酵等による味わいなのだとしたら、これほど天地人の「人」の力を如実に感じられるワインも珍しい。
日本的な柔らかさを備え、非常にソフトで親しみやすい味わいでありながら、本格ブルゴーニュを思わせる高級感を4千円台で体験できる、極めてコスパが高い一本といえる。
寝る前に飲んだら非常にいい夢を見て眠れそうな、そんな優しいワインである。
満足度 : ★★★★☆
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北海道のレベルの高さに驚愕を隠せない今日この頃。他のレビューも是非ご覧ください。
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