外観
やや燻った輝きの、やや濃い目のルビー色。
エッジには紫はなく、それなりの経年が感じられる。
粘性は強め。傾けるとアーチとラルムが見られる。
香り
香りはしっかりと感じられる。
プラムやフラムボワーズといった果実、スミレといった赤い花。
キノコのようなニュアンスも感じられるが、全体的にはすっきりと清涼感のあるフレグランス。
第一アロマが主体と思われる、どちらかといえば陽性の香り。
味わい
アタックは比較的穏やか。
溌剌として主張のある酸、穏やかな果実の甘みを中心とした味わい。
タンニン・アルコールも緻密で穏やか。ライトで上品に仕上げられている。
余韻はやや長め。歯の奥の方に果実の優しい甘酸っぱさが続く。
総評
上品で落ち着いた雰囲気のライトボディ。
供出温度は14~16度、グラスは中~大きめのものがよいだろう。
デカンタージュは不要。抜栓してすぐに楽しむ事ができるが、酸味が苦手な方はエアレーターなどを通した方がマイルドで飲みやすくなるだろう。
非常に冷涼な気候であり、一昔前は「ワイン不毛の地」であったイギリスだが、近年は地球温暖化の影響でワイン生産の北限が上昇したため、スパークリングに始まり赤ワインの生産も増えてきているようだ。
本作は穏やかだが非常に華やかで、清涼感があり上品。凝縮感やアルコールの圧は強くなく、その分果実の自然な甘みをゆったりと感じられ、エレガントと言うよりはキュートという印象。強いお酒が苦手な方に好まれそうな味わいである。
この穏やかな甘みはおそらく、ドルンフェルダーからくるものであろうか。
品種や糖度の低さ・アルコールの穏やかさからくる印象だと思われるが、味わいのベクトルはドイツに近いように思う。いかにも冷涼な気候で育ったのだろうなと感じられる、透明感のあるワインである。飲み終わり後には、僅かながら酒石酸カリウムの結晶も見られ、品質の高さも申し分ない。
世界のピノノワールと比べても、また違った愛らしい一面を見せてくれる。ワインの多様性を垣間見れる事だろう。
この完成度の高さ、万人受けするであろう味わい、イギリス産という話題性、それらを総合して、非常にコスパに優れたナイスワインだと言える。
満足度 : ★★★★☆
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これで19カ国目、ワイン世界旅行は続く・・・他のレビューも是非ご覧ください。
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