とても久しぶりに映画館で、映画「老後の資金がありません!」を観てきました。
半分くらいは天海祐希さんが好きで観に行ったのですが、普段のクールな役柄とは全く異なるコメディ配役にも関わらず、流石一流はなんでもできるんだなぁと感心の至りでした。
映画自体も緊張感あり、笑いあり涙ありでとても面白かったので、感想を書き残したいと思います。
以下、鑑賞済みであることを前提に軽度のネタバレを含みますのでご注意ください。
あらすじ
ストーリー・構成について
ストーリーの前半においては、経済的な受難が続きます。
老後の資金が4,000万必要と言われる中、貯金は僅か700万。そこから祖父の葬儀費用、娘の結婚式代、祖母の生活費の仕送り、家のローン等と出費が嵩み続け、その最中に夫と二人共々失業。
各々の見栄や建前、我が儘、プライド、欲目や悪意に巻き込まれ、理不尽に困窮していく様は、コミカルな描かれ方ではありながら、なんともメンタルにくるものがありました。
しかし中盤、天海祐希と姑役・草笛光子がちょっとしたスリルな事件を共有したあたりから、物語は良い方向へ転がり出します。
そこから明かされるのは、誰も根から嫌な・お金に汚い奴等だったわけではなかったということ。そして各々が少しずつ相手のためを思って行動するようになった結果、綺麗にわだかまりは消え、最後はハッピーエンドに。
鑑賞後は、とても爽やかな気持ちで映画館を後にできます。
全体的には、
といった感じで、往年の三谷幸喜のキレッキレの脚本を思わせる完成度の高さでした。
(ちなみに、三谷幸喜自身は演者として出演しています。)
回復傾向にあるとは言えまだコロナ禍中、控えめに言って枯れ山のようだった館内でしたが、諸所で思わず漏れる笑い声に包まれ、とても居心地の良い空間でした。
印象的な音楽について
そして当作品は特に、劇中・劇後の歌が非常に印象的でした。
音楽に限らずキャスティングにおいてもですが、完全に40~50代を狙ってきてるなぁという感じです笑。主人公が50代の設定なので当然と言えば当然なのですが。
特に「Happy!」は、曲調的には女性アイドルが歌っていた方がしっくり来そうなもの。そこを敢えての氷川きよし。年金問題が響く層は皆、氷川きよしが大好きというマーケティングの表れなのか(;゚∇゚)
SEX MACHINEGUNSは若者が奏でるメタルとして楽曲提供されていますが、ストライク層は30~40前半か。これも40~50代がよく(ギリ?)知ってるメタル、というキャスティングなのかなと。
王道メタルに乗せてお年寄り・餃子をフィーチャーした歌詞に、会場は大ウケ。流石だなと思わざるを得ませんでした。
そしてハイライトは生前葬のシーンで歌われる「ラストダンスは私に」。ラストという言葉に「生前最後の」という含みを持たせるチョイスで、哀愁を孕ませながらも、明るく、楽しく。とても感じ入るものがありました。素晴らしい選曲でした。
老後2000万円問題について
この映画を観ようと思った理由のもう1つに、老後2000万円問題がありました。
コロナ禍による株価の大暴落、その後の超インフレ、経済の停滞、個人的にも家賃の値上げ問題などがあり、この1年、マネーリテラシーを身につけなければと思い、本を読んだりYouTube動画を見たりしてきました。
なので、コメディというエンタメ作品において、なんともリアルで切実なトピックスである老後2000万円問題について、どういう解決法を提示するのかと注目していました。
作中において提示された、その答えをざっくり解釈すると、
誰かと対話し、喜びを分かち合えることこそを、尊ぶべきではないだろうか」
といったところでしょうか。
正直、期待していた方向性の答えではありませんでしたが、まぁ間違いなく忘れてはいけない真理だなと、納得しました。
締めに向けて非常に都合良くまとめにきているきらいはあり、「そんなに上手くいくなら苦労ないわ」と思いもしましたが、一方で、一番幸せな形というものを見せて終わってくれるところが創作物の良いところだなとも思います。
なので、勉強になったなというよりは、単純に「いい話だったなー」という感想です。今後知識を増やしていったとしても、この気持ちを忘れないようにしたいなと思います。
終わりに
というわけで、映画「老後の資金がありません!」の感想でした。
本編の話からは逸れますが、天海祐希さんといい草笛光子さんといい、品があり格好いい、とてもいい年の重ね方をしているなと思いました。
私も88歳時点で、これだけ動けて声も綺麗な、背筋の伸びたお年寄りに成りたいものです。
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