外観
透明な輝き、やや濃い目のレモンイエロー。
粘性は弱め。傾けても跡は残らず落ちる。
香り
香りはしっかりと感じられる。
リンゴや洋ナシ、仄かにパッションフルーツのような果実感を感じられる。
バニラオークの香りが顕著。
第二アロマが主体の、力強い陽性の香り。
味わい
アタックの強さは中程度。
酸は比較的穏やか。濃厚でねっとりとした果実とアルコールの甘味が特徴的。
コクを伴う苦みもしっかりと感じられる。
アルコールは厚みがあるが、穏やかで上品。
余韻は長め。歯の奥に甘酸っぱさと、舌の奥にコクのある苦みが長く続く。
総評
とてもリッチで個性の突出した辛口ワイン。
供出温度は14度程度、グラスは中~大ぶりのものがよいだろう。
デカンタージュは不要。抜栓してすぐに楽しむことができる。
ナイトハーベストとは、気温が一番下がる夜明け前に収穫することで、糖度・果実味・そして柑橘系のアロマなどを閉じ込めたままの葡萄をワインにすることを目指したもの。
確かに、ねっとりとするほどの高い糖度とアルコール感は他の日本ワインにはあまり見られない個性であり、一方でフレッシュな爽やかさを損なわない飲みやすさもある。
そして何より、じわじわと舌に滲んでくるような繊細なコク。エレガントでいて蠱惑的である。
高畠ワイナリーのラインナップには「フラグシップ」「プレミアム」「バリック」「クラシック」といった区分けがあり、本ワインは最高級ラインである「フラグシップ」に位置し、「妥協を許さない最高の造りで、高畠ワイナリーの醸造技術の粋を表す」もの。
その冠に見劣りする事のない、素晴らしいの一言に尽きる作品である。
このワインは「神の雫」でも扱われており、その際は「枕草子」の一説を以て紹介された。
山形県の南部は盆地で、一面を山に囲まれた地域だ。
そんな地理的特徴を捉えつつ、夜明けの静謐さ、日の昇る穏やかな光にも似た美しい上品さと力強さを表す、最高の比喩だと思った。
収穫の手間暇から来る物なのだろうか、それなりの値段はするし、実際、購入した店では最も高いワインだった。
しかし怯む勿れ。このクオリティ、日本人の舌に馴染む繊細な味わい、そこから得られる感動は、ブルゴーニュの6000円台を優に凌駕するレベルであろう。
山形県を訪れた際には、是非ご購入いただきたい一本である。
満足度 : ★★★★☆
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