v毎年恒例、キングオブコント2023を観ました。
最近仕事が忙しくて記事を書く習慣が抜けてしまいました・・・
そんな中ですが、近年稀に見るレベルの高さの大会で、とてもパワーをもらえる会だったので、やる気を奮い立たせて感想を書きたいと思います。
見逃し配信↓
決勝10組
カゲヤマ
△あまりにもダーティー笑
○スタイルが(今の時代逆に)斬新
○下ネタ+宴会芸という馬鹿馬鹿しさ笑
○オチが決まっていた [総評] ボケが全裸一辺倒なのかと思いきや、実はストーリーもあったり宴会芸もあったりと、意外にもバランスが良い。
掴みが遅いのは欠点と言えば欠点だが、一組目にだけ許される良いカードの切り方だったとも言えるかもしれない。
そして誰でも笑いどころが分かる。下ネタ嫌いでもまぁ許せるレベルの、実にいいところをついてきたなと。
間違いなく、今大会で最もインパクトを残したネタで、この大会のボルテージを一気に上げた、素晴らしいトップバッターだったと思う。
ニッポンの社長
○ボケは武器を使うことだけなのに、普通の台詞やシナリオが壊れないことが面白い
○更に強化されていく武器笑
○唯一無二性がえぐい [総評] 飛び道具使いの彼らにしてはなんともありきたりなシチュエーションで来たなと思ったが、終わってみれば全く見たことのない、ぶっとびすぎたネタだった。
ツッコミなし、ボケはただ武器を使うことだけという単純な仕掛けなのに、シナリオが全く壊れず、既存のありふれたシナリオの通りに進行していくのがあまりにも斬新。そして普通であるはずの台詞のひとつひとつがボケの様に聞こえるところが実にクレバー。
そして言うまでもなく演技力が素晴らしい。緩急、躍動感があり申し分ない。
もはやアーティストの域と言えるのでは。改めて、希有な才能だなと感じた。
や団
○クリスタルの灰皿がカタカタ揺れているだけの時間がこんなに面白いとは。
○演技力がすごい。勢いも間もサイコー。
○ガチ凶器に折れる人間心理の描写が素晴らしすぎる。 [総評] 登場人物の感情の揺れがとてもわかりやすく表現されており、コントというよりもはや演劇を観ているようなクオリティ。
特に、クリスタル灰皿にビビる姿とペットボトルで水を得た姿が間の長さで表現されているところは本当にお見事。
またストーリーについても、展開がしっかりとあり非常に面白い。あらゆる角度から素晴らしい出来映えだった。
ニッポンの社長という画期的すぎる飛び道具の直後という出順でなければ評価は全く変わっていただろう。不運。
蛙亭
×お寿司好きの男の思考がキモすぎて共感できない。
〇オチがトリッキーでよい [総評] あまり新しいところがない。ストーリーの展開もなく、言葉遊びも既存の枠の中でしかない。
そして男の方の思考、しゃべり方に共感できず笑いにならなかったし、それと対話する女の方もちょっと理解できない。
それでファイナルに出れるのはさすが売れっ子といったところで、よく言えば自分たちのキャラクターを使いこなしているのだろうが、悪く言えばそれに胡坐をかいたような印象のネタだった。
既にビッグネームになっているコンビだけに、やや期待外れに終わってしまった。
ジグザグジギー
〇松本チェアマンのちょいマネ。
×途中の質問を無視するという前振りでの会場の沈黙が勿体なかった。
△最後に笑点をもってくるなど展開もある。 [総評] お笑い好きに刺さる。観客も視聴者もお笑い好きなのは明白なので、このターゲティングは戦略勝ち。実際、会場の盛り上がりもすごかった。
それだけに、途中で沈黙が入ってしまったのは勿体なかった。あの勢いを維持できていれば90点後半ラッシュだったのでは。
また、展開があるのは良いことだとは思うのだが、最後の笑点はちょっとコンセプトの逸脱だった気がする。だったら最後まで大喜利あるあるで通した方がインパクトは強かっただろう。
ゼンモンキー
△メガネのおチビさんの、良くも悪くも癖のあるキャラクター。
×オチが陳腐で納得感がない。昭和か? [総評] この題材をしっかり調理するには尺が足りなかったのだろう。恋敵のドラマの掘り下げが浅いのでオチに向けたギャップが作れていないし、眼鏡高校生との関係構築と破綻までが早すぎて不自然。いまいち面白さが表現しきれていないように感じた。
また、オチで「えぇー!」と叫ぶのはちょっとチープに思える。昭和のオマージュのつもり?最後に神頼みの他力本願野郎が勝つという、勧善懲悪の爽快さとは真逆のストーリーもよくなかったと思う。それをするには、ヤンキーら2人の株を落としておかなければいけなかった。
しかしこのキャラクターバランスは面白い。持ち時間や自由度がTPOに合致している別のネタがあれば見てみたい。
隣人
〇話の転び方にド肝を抜かれた。
×音楽いらなかったでしょ。
〇オチを場面転換時の小ネタの出し方と揃えるのおしゃれ。 [総評] 世界観がぶっ飛んでいるコントはいくつもあるが、見たことのない導入から、師匠がサル語を話し始めるという急転直下にはド肝を抜かれた。完全に私の発想を超えていった。
そしてクレイジーな世界観に似つかわしくないほどに、ちゃんとチャプターが用意されてメリハリがあり、つなぎとオチの統一感もとてもお洒落だった。
後のトークまでチンパンジーでいったのはとても良かったと思う。笑
ファイヤーサンダー
〇「なんで日本代表より層厚いねん!」
〇「俺たちがゼロから生み出せるわけないだろ!」
〇終始一貫ものまね芸人であり続けた。 [総評] 私は物真似はしないので共感とは違うのだが、本当にものまね芸人ってこういう視点で物事をみてそうだなというリアルさというか、納得感のある描写だった。
統一感もあれば話の展開もあり、オチもばっちり決まっており、全体的にバランスよく組み立てられた上々の出来栄えだったと思う。
しかし強いて言うなら、セリフのほぼ全てを同じトーンで叫んでいるところに緩急がなかった気がする。ネタ的にも感情的にもクライマックスとなるところがあれば最高だったのだが。
サルゴリラ
×不条理系。はまらないと本当に笑いどころがない。 [総評] 「こじんまりとややこしいマジック」と「しゃしゃったセリフ」の2つだけで構成されるという、よく言えばシンプルで分かりやすい、悪く言えば底が浅いネタ。
ややこしいモチーフのチョイスがはまれば面白いだろうが、私はボケにも合理性を求めるタイプなので、なんで靴下ニンジン?などと思ってしまい、いまいち楽しめなかった。だいぶ好みの分かれるタイプではないだろうか。
これを見ていると、奇抜であることとカオスであることは全く別のものだとよくわかる。史上稀にみるレベルの高さで会場が盛り上がっていたからそこそこウケていたが、もしトップバッターだったら・・・などと思うと、この位置での出順は非常にラッキーだっただろう。
審査員得点はおかしい。何を評価しているのか全くわからん。大会の後半になって無理やり盛り上げにいったとしか思えない。
ラブレターズ
×なんで犬の鳴き声のみに反応するのか意味がわからん。
〇犬の小道具の使い方上手い。
△畳みかけ方が上手くもあり、俗的であるような気もする。 [総評] その中身はとてもシンプルなことしかやっておらず、良くも悪くも勢いで押しきった感がある。子供とかには人気がでそう。つまりはいい意味でも悪い意味でも、IQの低いネタであった。
配信で相手の動向を知るというシチュエーションには現代的な新しさがあり面白かった。が、VTuberと言ってたのに部屋の間取りがわかるのは??という感じ。随所に感じる不自然さやご都合主義と思えてしまうぎこちなさが最大の敗因だったのではないだろうか。
ファイナル3組
ニッポンの社長
×エイリアン?がぴくぴく動くのキモすぎる・・・ [総評] 決勝になんてネタ持ってくるんだ・・・勝つ気ないだろ笑。爪痕を残しに行ったのだろうが、これはどうだったのかな・・・尖っているのは嫌いではないのだが。
全体的に静かなところも賞レース向けじゃない。それだけに後の方のドラえもんのようなポイポイが活きるのだが、題材が題材だけに笑っていいのかどうなのか迷ってしまうところ。
個人的には、見ていて物理的な痛みを想起させるようなネタはテレビでは、特にこういった大会ではやめて置いた方が良かったのではないかなと思う。
カゲヤマ
○間の取り方が強気でよい。
○色んな情報で罪を上書きするスタイル。
×ラストにかけての話がつながっていない・・・よな? [総評] 異常者との噛み合わない会話、というスタイルは珍しくもなく、1本目に比べると飛び道具としての個性はあまりにも弱かったと思う。
ラストの引き出しのくだりもいまいち意味が分からず、視聴者を置き去りにしたのではないかと思う。
兎角、1本目とのクオリティの落差が激しすぎて、ちょっと実力不足を感じずにはいられない内容となってしまった。
サルゴリラ
×構成や見せ方が1本目と全く同じ。
×これはコントでなくて良い。漫才で十分成立する。 [総評] 1本目と比べて目新しさが全くなく、「絶対魚やめろよ」という前振りをガン無視するところも手法が全く同じ。たった2本のネタでこうなってしまうのはスタイルに頼りすぎと言わざるを得ない。
そして1本目はともかく、これはコントでなくてよいだろう。漫才として十分成立してしまう。それだけに、コントの大会において評価されるべき内容ではなかったと思う。
逆に言えば、漫才ではそれなりに評価できたかもしれないが・・・それでも魚一辺倒という点で高評価はできなかっただろう。
私としてはこのような考えなので、審査員の高得点は正直意味が分からない・・・評価ポイントどこなの?
総評
最終的な、審査員(と私)の点数のまとめは下記の通り。
(赤は審査員毎の最高点、青は同最低点。)
No. | 演者/演目 | 山内 | 秋山 | 小峠 | 飯塚 | 松本 | [合計] | 私 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
No.1 | カゲヤマ / 料亭 | 95 | 95 | 92 | 92 | 95 | 469 | 72 |
No.2 | ニッポンの社長 / 空港へ行け | 90 | 94 | 94 | 94 | 96 | 468 | 88 |
No.3 | や団 / 演劇の稽古 | 92 | 93 | 93 | 94 | 93 | 465 | 86 |
No.4 | 蛙亭 / 寿司ボーイ | 92 | 94 | 90 | 93 | 94 | 463 | 60 |
No.5 | ジグザグジギー / 新市長 | 93 | 94 | 93 | 91 | 93 | 464 | 83 |
No.6 | ゼンモンキー / 縁結び神社 | 92 | 91 | 90 | 91 | 92 | 456 | 55 |
No.7 | 隣人 / 猿落語 | 91 | 92 | 91 | 92 | 94 | 460 | 78 |
No.8 | ファイヤーサンダー / 日本代表メンバー発表 | 94 | 94 | 91 | 95 | 92 | 466 | 71 |
No.9 | サルゴリラ / マジック | 97 | 96 | 96 | 96 | 97 | 482 | 60 |
No.10 | ラブレターズ / 義母と隣人の間に | 92 | 93 | 93 | 93 | 93 | 464 | 59 |
F1. | ニッポンの社長 / 手術 | 93 | 95 | 94 | 91 | 93 | 466 (934) |
65 |
F2. | カゲヤマ / できる部下の罪 | 94 | 96 | 95 | 96 | 95 | 476 (945) |
57 |
F3. | サルゴリラ / 野球部 | 95 | 97 | 97 | 97 | 96 | 482 (964) |
61 |
まず、1組目が2位でファイナルに進出するというのは非常に希有な例であり、トップバッターの呪縛を打ち破る偉業だったと言って差し支えないのではないだろうか。
トップバッターだったからこそ評価されたわけでもないと思う。おそらく、真ん中でやろうがトリでやろうが、通過は確定だっただろう。それくらいにインパクトがあり観客の熱量を掴んだネタだった。
毎年毎年言っているような気もするが、全体的に本当にレベルが高かった。特に前半のクライマックス感は半端なかった。「大会に勝つためのコント」に必要な展開や間の詰め方といった物が洗練され尽くしてきたような気がする。だからこそ、もはや普通のネタでは脚光を浴びることはできない。「王道」が輝くことのできないレベルに達したように思う。実際、カゲヤマとニッポンの社長がファイナルに進出したのはそういうことだろう。
それにしても、今年の審査員の採点には納得がいかないことが多すぎた。80点台がゼロというのは明らかにやり過ぎだし、サルゴリラのネタのどこを評価してのことなのか全く理解できない。他の視聴者の方はどう思ったのだろうか、今後の彼らの売れ方が一つの答えになるであろうので、どうなるのか楽しみだ。
終わりに
というわけで、キングオブコント2023の審査員ごっこ(感想)でした。
今年も大変楽しく見れました。結果を見れば私にとっては最初の3組がクライマックスでしたが笑、冒頭からワクワクしたし、日頃の疲れが吹っ飛ぶくらい笑いました。
いやぁ、やっぱりお笑いっていいものですね。
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