外観
透明な輝きのある、グラスの底が見えるガーネット。
エッジの紫は概ねとれており、それなりの経年が感じられる。
粘性は強め。傾けるとはっきりとしたアーチとラルムが見られる。
香り
香りはしっかりと感じられる。
ブラックベリーやカシスといった果実。
タバコや紅茶、火打ち石と言ったニュアンスも。
第一アロマ・第二アロマの入り交じる、複雑な陰性の香り。
味わい
アタックはやや強め。
溌剌とした酸。なかなかの凝縮感のある厚みのある果実感。
逆にアルコールはやや落ち着きがあり、品格を感じる。
タンニンは緻密で溶けこんでおり、存在感はあるが全く飲みづらさはない。
全体的に、それぞれの要素が出過ぎず隠れすぎず、となるようしっかりと調整された印象。
余韻はやや長め。舌の奥に、タンニンのヴェジタルさが続く。
総評
ジューシーでエレガントな、フル寄りのミディアムボディ。
供出温度は15~17度、グラスは中かやや大きめの物が良いだろう。
デキャンタージュは不要だが、抜染して多少置いた方が、酸が落ち着き調和された味わいになる。
このワインはルミエールの中でも、グレートヴィンテージの年にだけ特別に仕込むトップキュベとのこと。
自社の商品ページを見ても最高価格がついているあたり、確かに最高の自信作だと言ってよさそうだ。
ではその味わいはといえば、個人的には、「通好み」な方向性だなと感じた。
まず、7種類もの葡萄がブレンドされているとは思えないほど、味わいがすっきりとしているところが驚きである。
これがアメリカのワインであれば、濃い!美味い!という味の暴力に訴えかけてきそうなものだが、
このワインは大人の静謐さを感じさせるエレガントさがある。
かといって凝縮感や複雑さはしっかりと備えられており、文句なしにハイクオリティなワインだと言えよう。
しかし悲しいかな、このワインを1万円で購入し続けるかと言われると、ほとんどの人は尻込みしてしまうだろう。私もそうだ。
前述の通り、個性もあれば品質も十分なのだが、如何せんインパクトが控えめである分、浅はかに「こんなに薄いのに高いの?」と思ってしまう人は少なくないのではないかと思ってしまう。
そもそも、土地の大きさから他国ほど規模の経済の効かない日本ワインは、コスパで見たらどうしてもハンデを負う形になってしまう。
つまり、分かる人が飲めば納得だろうが、一般的にはそうでもなさそう、ということで「通好み」だと思うのである。
そんなワインを、ふるさと納税でハードルを下げて手に取れる機会は、本当にありがたいことだ。
日本のトップキュベの実力を知りたいが値段が故に踏み切れない、という方は、この機会に是非ふるさと納税を活用して飲んでみていただきたい。
満足度 : ★★★☆☆
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また、インデックス頁から俯瞰した閲覧もできます。↓
今後もっと日本ワインを勉強していきたいと思います。是非ご覧ください。
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