外観
透明な輝きのある、やや明るめのガーネット。
エッジの紫には変色が見られ、それなりの経年を感じさせる。
粘性はやや強め。傾けるとアーチとラルムが見られる。
香り
香りはしっかりと感じられる。
ブラックベリーやダークチェリーといった黒い果実を思わせる。
甘草や火打石のようなニュアンスも。
第一アロマ・第二アロマの入り混じる複雑な、ドライで陰性な香り。
味わい
アタックはやや強め。
丸みを帯びた酸によるはっきりとした輪郭。
凝縮感のある成熟した果実味が前面に表れている。
タンニンは緻密で溶け込んでおり、滑らかで飲みやすい。
アルコールはこなれてきている感じがあり、落ち着いている。
全体的に、穏やかな重厚感の漂う、エレガントな仕上がり。
余韻はやや長め。舌の奥に果実味とヴェジタルな苦みが仄かに続く。
総評
リッチでエレガントなフルボディ。
供出温度は18度程度、グラスは大ぶりのものが良いだろう。
デカンタージュは不要。抜栓してすぐに楽しむことができる。
スタッグス・リープといえば、ワイン史における革命的事件である1976年「パリの審判」が思い出されることだろう。当時全く評価されていなかったカリフォルニアという地域の無名ワイナリーが、フランスの5大シャトーを押しのけて1位を獲得してしまった、あの事件である。そのワイナリーこそが、「スタッグス・リープ・ワイナリー」であった。
今回のワインは、そんなワイナリーと同郷である「スタッグス・リープ地区」のワインである。生産者は「ストーンヘッジ・ワイナリー」。ヴィノスやまざきの看板とも言えるワイナリーである。
まず非常にソフトな口当たりに驚く。たった4年しか経っていないのに、このカベソーはマイルドな輪郭を持ち合わせている。
果実の凝縮感や、全く棘のない滑らかなタンニンといった特徴は少しも安っぽくない。全く雑味がなく、癖もなく、どこまでもクリアでありながら、膨大な量の葡萄から抽出されたのであろう凝縮された旨味を備えた、まさしく高級ワインの冠の相応しい作品である。
一方で、2万円以上するガチの高級ワインと比べると、それはそれで異なる点が見えてくる。
例えば果実味の凝縮感と言ったが、暴力的なまでに滾るというほどではない。滑らかと言ったが球体と言うほどではない。非の打ち所がない素晴らしい出来栄えではあるが、そのスケールは途方もなく大きいというわけではない。
つまりは、「高級すぎない高級感」なのである。1万円未満のラインナップとは一線を画しながら、本当の高級ワインと比べるとリーズナブル、欠点らしい欠点がない確かなクオリティ、そんな「高級ワイン入門編」とでも言うべき立ち位置を思わせる。
サッシカイアが「天才」なら、こちらは計算して作られた感覚のある「秀才」といったところだろうか。勿論それは別に悪い意味ではない。このワインは充分にフォーマルな場に出せる品質であるし、更に効率・コスパを求めるなら最良の選択肢の一つと言えるだろう。更にラベルにあしらわれたトロフィーは縁起も善い。贈答品にも持って来いである。
満足度 : ★★★☆☆
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ちょっと高めのラインナップのレビューも徐々に増やしています。購入前の参考に是非ご覧ください。
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