外観
透明な輝きの濃いガーネット。
エッジは紫が取れ、仄かにオレンジ値の変色が見られる。
粘性は強い。傾けるとはっきりとしてアーチとラルムが見られる。
香り
香りはしっかりと感じられる。
ブラックチェリー、ダークチェリーといった黒い果実。
血液やなめし皮といったニュアンスも。
オーク樽の要素を強く感じる。第2アロマ主体、複雑な陰性の香り。
味わい
アタックは強い。
穏やかな酸、熟成された果実の円やかな甘み、重厚ながら緻密なタンニンがバランスよくまとまっている。
アルコールは厚みがありながらも落ち着きがあり、とても上品。
余韻は長め。舌になめらかなタンニンの苦味と果実の仄甘さが続く。
総評
圧倒的な密度と上品さをもった、ハイクオリティのフルボディ。
供出温度は18度程度、グラスは極力大ぶりのものが良いだろう。
デカンタージュはなくても飲めるが、多少置いた方が円やかで芸術的な仕上がりに近づく。
そこいらのワインとは明確に格が違う、圧倒的な密度とまろやかさ。5年物はまだ早すぎるかとも思ったが、嬉しい事に大変飲みやすかった。
アルコールが穏やかな分タンニンの存在感が大きく、スケールの大きさが感じられる。
かといって凝縮感のある果実の甘みも顕著で、全く飲みにくくない。イタリアらしい大衆性も失っていないと言える。
鼻孔から抜ける香り、密度、シルキーなタンニンと酸のバランス、円やかなアルコール、余韻のエレガンス、どれをとってみても素晴らしいの一言に尽きる。余韻に残る後味は特に素晴らしい。飲み干して3秒経ってからが最高に恍惚を感じられる瞬間だ。
元々2万円くらいの印象で、近年の円安で更に高くなった気がするが、それでも全く惜しくない。最高のイタリアワインである。
ただ、写真を見ればお分かりの通り、実家にまともなワイングラスが無く、こんな小さいグラスで飲むことになってしまったのは痛恨の極みだった・・・
こんなにも素晴らしいワインだったにも関わらず、家族の評価は芳しくなかったのである。
確かにグラスがこれだと、タンニンが感じられない表面的な味わいになってしまっていた。これでポテンシャルを感じ取るにはそれなりの経験値が必要であろう。
というわけで、グラスの大事さをとても感じた。ボディの膨らみがなくスワリングできないことが、こんなにもポテンシャルを隠してしまうのかと。
今度高級ワインを用意するときは、グラスから気を配ろうと固く誓ったのであった。
満足度 : ★★★★☆
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今年もいい年でありますように。是非ご覧ください。
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