外観
透明な輝きの、深いガーネット。
エッジの紫はほぼ取れており、それなりの経年を感じさせる。
粘性は強め。傾けると綺麗なアーチとラルムが見られる。
重厚な味わいを予感させる外観。
香り
香りはしっかりと感じられる。
ダークチェリーやブラックベリーと言った黒い果実、バラのようなフレグランス。
カカオパウダーやコーヒーのようなアクセント。
血液やなめし皮のようなニュアンスも感じられる。
第二アロマ中心の、落ち着いて重厚感のある、陰性の香り。
味わい
アタックは中程度。
爽やかな酸、凝縮した自然な果実の甘みと、
それをコーティングするような、力強くも上品なタンニンとアルコールのストラクチャ。
肉厚で豊満、深い世界観を持った味わいだが、ドライで滑らかでもあり、飲みにくさを感じさせない。
余韻は長い。舌の中央には果実の甘みが、両端にはヴェジタルなコクが穏やかに続く。
総評
濃縮し力強いフルボディ。
ポテンシャルの高さを感じられる作品。
供出温度は17度前後、グラスは大ぶりのものがよいだろう。
デカンタージュはなくてもよい。苦味が苦手であれば、エアレーターなどを通した方が、円やかで飲みやすくなるだろう。
ボルドーワインには1~5級、更にその下に「ブルジョワ級」という格付けがあり、本ワインは「ブルジョワ級」にあたるもの。つまりは「格付け外」な存在なわけだが、このワインを飲んだ後にそんな蘊蓄に納得する方はどれだけいるのだろうか。
漫画・神の雫にも登場した本作品は、ヴィンテージ違いではあるが、下記のように表現されている。
シャトーの名は、詩人バイロンが名付け親とも、ボードレールの『惡の華』に由来するとも言われるようだ。「CHASSE-SPLEEN」、意味は「哀しみよさようなら」。
とはいえ、決して明るく盛り上げてくれるワインではない。寧ろ味わいは、どちらかといえば陰鬱で哲学的だ。
もしこのワインで憂いが払われるのであればそれは、哀しみよりも高次元の感動に圧倒的されるからではないのだろうか。
そこまでのクオリティに至るまでには、まだ10年以上の歳月が必要なのだろうが。
満足度 : ★★★☆☆
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やっぱりフランスワインは深い。他のレビューも是非ご覧ください。
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