外観
やや燻んだ輝きの、濃いガーネット色。
エッジは紫から深い臙脂に変わっており、それなりの経年が見てとれる。
粘性は強め。傾けるとはっきりとしたアーチとラルムが見られる。
熟成を感じさせる重厚な外観。
香り
香りはしっかりと感じられる。
カシスやブラックベリーといった果実、スミレといった赤い花。
赤ピーマン、シナモンといったニュアンスも。
第一アロマが主体、スパイシーで鼻腔を擽る、陽性の香り。
味わい
アタックはやや強め。
爽やかな酸、密度のある果実の自然な甘みが前に出ている。
タンニンはサラサラとしており軽やかだが、ヴェジタルな存在感はしっかりとある。
アルコールは軽めで涼やか。
余韻の長さは中程度。奥の歯に甘酸っぱさと、喉の手前にタンニンの穏やかな渋みが感じられる。
総評
熟成感・濃縮感のあるミディアムボディ。
供出温度は14度前後、グラスは中~大きめの物がよいだろう。
デカンタージュは不要。抜栓してすぐに楽しむ事ができる。
実はBC2世紀頃、前漢の時代からからワイン造りを行なっていたという中国。
紹興酒や白酒があまりに有名なため、ワインというイメージを持つ日本人は多くはなかろう。
しかしよく考えてみれば、あれだけ縦横に広大な土地を持つ国であるので、葡萄栽培に適した土地が文字通り山ほどあるのであろうことは想像に難くはないはずだ。
山東省煙台は、韓国に最も近い半島に位置する東側沿岸の街で、緯度にしては日本の新潟、ヨーロッパではイタリアのシチリア島くらいのところに位置するようだ。
本作の味はと言えば、実に正統派である。木や草を思わせるカベソーらしい香り、凝縮感のある果実に存在感のあるタンニン。しかしあくまで果実を主役に据えており、刺々しさやアルコールの厚みのとれた、円やかで飲みやすいところが現代風である。
「蛇龍珠(シャーロンジュウ)」はカベルネ・フランを起源にする(と思われる)中国固有品種らしい。実に納得の味だ。
日本のワインよりもヨーロッパ的だなと感じた。酸による輪郭がより感じられるからだろうか。とはいえやはりボディがくっきりとしているというほどではなく、ヨーロッパと日本との中間的な味わい、というのが正直な印象。
一言でまとめると、非常に美味しい。同レベルのクオリティ・熟成感のあるワインをボルドーで探そうと思えば、5000円以上になることは避けられまい。それを思えば、コスパも申し分ない。
「中国ワイン」という選択肢をご存じない方、飲まず嫌いをしている方には是非お試しいただきたいと、とてもお薦めできるクオリティだ。
満足度 : ★★★☆☆
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世界中のワインを制覇してみたいです(^-^)他のレビューも是非ご覧ください。
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