外観
澄んだ輝きのある、やや濃い目のルビー色。
粘性は強く、傾けるとはっきりとアーチができる。
エッジに紫はなく、臙脂色へと変化している。
充分な成熟が見て取れる。
香り
香りはグラスから立ち昇るほどはっきりと感じられる。
カシス、ブルーベリーと言った青い果実、スミレといった赤い花、
紅茶や土のようなニュアンスも。
線が細く繊細な印象。
味わい
アタックは軽め。
円みのある酸、凝縮された上品な果実の甘味に続き、
ヴェジタルな苦みと、穏やかで心地よいアルコールが感じられる。
スマートでバランスが良く、落ち着きのあるエレガントで陽性の味わい。
タンニンは緻密、軽やかで飲みやすい。
余韻は長め。舌の奥に仄かな甘みと爽やかな酸が残る。
総評
フルーティーながら複雑性も兼ね添えた、エレガントなミディアムボディ。
供出温度は14~17度、グラスはなるべく大ぶりのものがいいだろう。
デカンタージュはなくてもよい。ただし、1時間程度置いた方が、より整ったエレガントな味わいとなる
感じとしてはドイツのシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)に近いだろうか。
日本の赤ワインは輪郭のぼやけたものが多い気がするが、このワインは甘味・酸・タンニンがほどよいバランスで成立しており、非常に完成度が高い。特に果実の凝縮感からくる上品な甘みが素晴らしい。いかにも「北国のブドウ」といった、甘すぎず、爽やかで上品な葡萄の味が詰め込まれている。
心落ち着くと言うか、ほっとする、優しい味わい。かと言って飲み飽きる事のない、とてもいいワインである。
2000円台とコスパも申し分なく、欠点らしい欠点が見当たらない。強いて言うなら、若干入手しづらいことだろうか。
ワイン名の「ペンケ・ウタシュナイ」は、アイヌ語で「砂のある川の上流」を意味する。
北海道 歌志内市はもともとは炭鉱で栄えた町で、歌志内太陽ファームのワインも、坑内から出た土が積みあがってできた”ズリ山“で作られているそうだ。天地人における「地」の恩恵を充分に受けているとは言い難い、「人」の力が作り上げたワインと言える。
北海道と言う過酷な地で手作りされた温かみを感じながら飲みと、その味は更に格別ではなかろうか。
満足度 : ★★★★★
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今後日本ワインも勉強していきたいと思います。是非ご覧ください。
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