外観
鮮やかな輝きの、夕闇を思わせる濃いガーネット。
エッジにはまだ紫が残り、若々しい。
粘性は強め。傾けるとはっきりとしたアーチが見られる。
若く美しく、パワフルな外観。
香り
グラスに注いだ瞬間から、溢れんばかりに力強く香る。
ブルーベリーやラズベリーといった瑞々しい果実、バラのような豊かな芳香。
キャンディの様な甘さ、キノコや紅茶のようなニュアンスも。
第一アロマが主体、弾けるようにポップな陽性の香り。
味わい
アタックは中程度。
円やかな酸、豊かで自然な果実の甘み、穏やかなアルコール。
タンニンは溶け込んでおり緻密。苦味ではなくコクとなって存在感を出している。
豊満で柔らかな味わい。
余韻は中程度。奥歯に爽やかな酸と果実の甘みが続く。
総評
フレッシュ&フルーティ、特にリッチな果実味が特徴的なミディアムボディ。
供出温度は14度強、グラスは香りを楽しめる大ぶりのものが良いだろう。
デカンタージュは不要。抜栓してすぐに楽しむ事ができる。
岩手県をワインの産地と認識している方はどれほどいるのだろうか。
都道府県別・日本ワインの生産量ランクでは、山梨・長野・北海道・山形に次ぐ第5位である(2016年調べ)。立派に「名産地」と呼んでいい位置にあると言える。
その味わいの印象は、「かなり思い切りよく振り切ったな」というものである。
まず、表面的な口当たりが葡萄ジュースの様に瑞々しい。そして凝縮感が非常に高く、とても飲み心地が良い。それでいてしっかりと感じられるタンニンが、あくまでこれがワインであることを主張している。
山葡萄ならではの野性味、キャンベルアーリーならではの親しみ易さは、所謂グローバル品種とは一線を画した個性である。これらの共存する本作はした、日本以外のワインではおよそ体験する機会のないベクトルの味わいと言えるだろう。
味以外の点でも素晴らしい点は多々ある。
まず、注いだワインのエッジは鮮やかな緋色に輝き、その美しい外観からは品質の高さが一目瞭然である。
また、グラスから溢れ出る葡萄の芳香は非常に華やかで、早く飲みたいという渇望を誘ってくる。
ガラスのワインキャップ、アルコール度数10%という飲みやすさも昨今のNoLoブームを思わせ、実にお洒落だ。
そして価格の安さである。この味わいをワインと取るか、ジュースと取るかで価格感は変わってくるだろうが、前者派である私にとって、この品質・凝縮感を以て2000円台前半は正直おかしい。
特にデザートワインとして出せば、無類の存在感とコストパフォーマンスを発揮するだろう。
「日本ワイン?岩手?」などという飲まず嫌いを一蹴するパワーを持った一本である。
満足度 : ★★★★☆
本文後のタグから、同じようなワインに飛べるようになっています。
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北海道ばかりでなく、都道府県制覇したいです。他のレビューも是非ご覧ください。
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