もし高校野球の女子マネージャーがPMP試験を受けたら

備忘録
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川o・-・)「私は女。ピーエム学園の3年生。野球部のマネージャーをやってるわ。」
川o・-・)「うちの野球部は弱小で、昨年は見事に初戦コールド負けだったわ・・・」
川o・-・)「今年はなんとしても、甲子園にいくわよ!」

川o・-・)「監督!今年は私にチームのマネジメントをやらせてください!」
監督「は?それは監督やキャプテンの仕事で・・・」
川o・-・)「いいからやらせてください!」
監督「いやいや・・・」
川o・-・)「(耳打ちー)」
監督「ちょ、なんでそれを」
川o・-・)「いいですよね?」
監督「仰せのままに」

PMBOK第6版を元に、PMP試験に役立つプロセスの流れを寸劇にしてみました。
プロセスの流れをざっくり理解するのに役立つといいなと思います。

立ち上げ

「プロジェクト憲章の作成」

監督「じゃあこれ、女ちゃんに指揮権があることを認める文章」
川o・-・)「ありがとうございます!どれどれ、」
川o・-・)「『野球部は甲子園に行くことを目標、成功基準とする』?」
川o・-・)「『OBとの練習試合で健闘できるだけの実力になること』?」
川o・-・)「『そのためのプロジェクトマネージャーとして女を任命する』?」
川o・-・)「ずいぶんとざっくりしたことしか書いてないわねぇ。」
川o・-・)「まぁいいわ。これで私は正式に(プロジェクト)マネージャーよ!」

プロジェクト憲章は、スポンサーなどのシニア・マネージャーが発行し、
PMにリソース使用権を与えることを、正式に認可します。
プロジェクト憲章には、プロジェクトの目的や目標、成功基準、主要成果物、マイルストーン、財源、任命されたPMの氏名と権限レベル、といったことがハイレベルで記載されます。

 

「ステークホルダーの特定」

川o・-・)「さぁ!甲子園への第一歩よ!」
川o・-・)「まずは登場人物を整理しておこうかしら。」
川o・-・)「えーと、監督にコーチ、キャプテン、部員のみんな、校長(?)、応援団・・・」
川o・-・)「・・・改めて思うと、野球って、いろんな人が関係してるのね。」

立ち上げプロセスでは、前述のプロジェクト憲章作成と、
この「ステークホルダーの特定」を行います。
ステークホルダーの関心、関与度などを分析し、プロジェクト成功への影響を調べます。

スコープの計画

「要求事項の収集」

川o・-・)「次は計画を立てるわ!何事も事前準備が大切よ!」
川o・-・)「まずは『みんながどうしたいか』を理解しないとね。聞いてみましょう」
~聞き取り中~
川o・-・)「えーと、『道具を新調して欲しい』?」
川o・-・)「『プロテインを部費で支給してほしい』?」
川o・-・)「『チアリーディング部に応援してもらいたい』?」
川o#・-・)「言いたい放題言って・・・これで練習しなかったら地獄を見せてやるわ・・・メラメラ」

プロジェクトの目標を達成するために、関係者のニーズや要求事項を洗い出します。
これを「要求事項の収集」といいます。
これらは達成に向け、要求事項トレーサビリティ・マトリックで管理されます。

 

「スコープの定義」

川o・-・)「さて、要求事項は文書にまとめたし、次は成果物を明らかにしましょう」
川o・-・)「高校野球児の成果物、それは無敵の身体よ!」
川o・-・)「ベンチプレス80kgを上げ、3kmを10分で走り、5教科の平均点が90点を超える」
川o・-・)「そんなパーフェクト・ヒューマン軍団を、育成して見せるわ!」
部員「いや、野球」
川o・-・)「あっ、でも、歌って踊れる必要はないわよ」
部員「アタリメーダロ・・・」

「スコープの定義」では、プロジェクト憲章で定められた概要レベルの記述を分析し、
具体的な成果物や受け入れ基準、プロジェクトからの除外事項を定義します。
これらは、プロジェクト・スコープ記述書にまとめられます。

 

「WBSの作成」

川o・-・)「成果物である最強の身体を手に入れるには・・・」
川o・-・)「頭もよくするには・・・」
川o・-・)「よし、成果物から逆算して、必要なものを洗い出したわ!」
・筋トレ
・マラソン
・勉強会
(以下略)
川o・-・)「この枠からはみ出す奴は、ビシビシ矯正が必要ね」

WBSは、プロジェクト目標を達成し、必要な成果物を生成するために、
チームが実施する作業の全範囲を、階層的に分解したものです。
これを含めて、スコープの基準となるものを「スコープ・ベースライン」と呼び、
この通りにプロジェクトが進行しているかを管理していくことになります。

スケジュールの計画

「アクティビティの定義」

川o・-・)「何をするかが決まったら、次はスケジュール作成ね!」
川o・-・)「私は旅行するにも、タイムスケジュールを作ってその通りに進めないと気が済まないの」
川o・-・)「まずは、WBSを更に細かく分解していきましょう」
川o・-・)「『筋トレ』は、ベンチプレス、ショルダープレス、スクワット、デッドリフト・・・」
川o・-・)「『マラソン』は、校庭を300周するか、隣県を往復するコースか・・・」
部員「ヒエッ・・・」

WBSを更に個人作業レベルまで要素分解することを、「アクティビティの定義」と呼びます。

「アクティビティの順序設定」

川o・-・)「順番も決めた方がいいわね。先に筋トレ、その後マラソン、帰ってから勉強ね」
部員「別々の日にしてくれよ・・・」

「アクティビティ資源の見積り」

川o・-・)「みっちり体を作ったら、フィールド練習も必要ね」
川o・-・)「そうだ、グラウンドが使える時間帯とか確認しておかなくちゃ」

「アクティビティの所要時間見積り」

川o・-・)「期間は、体作りが2カ月、フィールド練習が3カ月、練習試合が2カ月、ってとこかしら」

「アクティビティの所要時間見積り」と「アクティビティの順序設定」とは、
並行したり交互に行ったりします。順序は明確に定められていません。

「スケジュールの作成」

川o・-・)「ついにスケジュールができたわ!」
川o・-・)「このスケジュールからはみ出す奴は、ビシビシ矯正が必要ね」

スケジュールの基準となる線を「スケジュール・ベースライン」と呼びます。
今後、ベースラインの通りにプロジェクトが進行しているかを管理していくことになります。

コストの計画

「コスト見積り」「予算設定」

川o・-・)「マネージャーたるもの、部費の管理も重要ね!」
川o・-・)「まずは、甲子園にいくために必要なコストを見積もって・・・」
川o・-・)「予算を立てたわ!xx万円あればいいから、なんとか部費で足りそうね。」
川o・-・)「この枠からはみ出すような無駄遣いをするやつは、ビシビシ矯正が(ry」

ここで、コストの基準線となる「コスト・ベースライン」が作成されます。
また、スコープ、スケジュール、コストの3つのベースラインがここで出揃いました。
この3つをまとめて、「パフォーマンス測定ベースライン」と呼びます。

リスクの計画

「リスクの特定」

川o・-・)「私はできる女!もしもの場合への備えも欠かさないわ!」
川o・-・)「もしエースのA君が交通事故にあったら・・・お兄さんも野球やってるから代役に」
川o・-・)「もしA君の腕が故障したら・・・右投げ右打ちに転向してもらいましょう」
川o・-・)「もしA君が暴力事件を起こしたら・・・担任のK先生に説得してもらおうかしら」
A「なんで僕ばっかり・・・」

不測の事態に対処できるよう、予測できるリスクは予め洗い出しておく必要があります。
この「リスクの特定」は、プロジェクトが構想された時点から早期に行い、
またプロジェクト全体を通して実行・監視される必要があります。

「リスクの定性的分析」「リスクの定量的分析」

川o・-・)「さて、これを発生する確率×期待値で計算すると」
川o・-・)「起こったら一番ヤバいのは、キャプテンが機能しなくなることね」
A「僕じゃないのかよ」

リスクは発生確率や影響により、定性的・定量的に分析され、優先順位付けされます。

「リスク対応の計画」

川o・-・)「キャプテンが落ち込んだり、やる気をなくすことは是非避けたいわ」
川o・-・)「だから友達のP子ちゃんには、キャプテンからの告白は保留してもらって・・・」
川o・-・)「甲子園に行った後に、断るようにしてもらいましょう」
A「早くふってやれよ」

要対処と判断されたリスクには、回避・転嫁・軽減・受容といった対応策を設定します。
これを「リスク対応の計画」と呼びます。

変更管理

「統合変更管理」

川o・-・)「さぁ、綿密な計画ができたわ!やるわよー!」
川o・-・)「野球の神様、見ててください!」
神「(うむ、承知したぞよ)」
川o・-・)「あら?誰かが返事をしたような・・・ってそんなわけないかー」

部員「はぁはぁ、女ちゃんが作った練習メニュー、きつすぎ・・・」
部員「こんなの守ってられないよ。勝手に変えちゃおうぜ」
神「ならぬ」
部員「えっ」
神「勝手に計画を変更してはならぬ。計画は野球の神に承認されておるのじゃ」
部員「なんか変なのでてきた・・・」
神「変更したければ、我に変更届を申請するのじゃ」
部員「システマチックな神様だな・・・じゃあ練習メニューを減らしてください」
神「ならぬ」
部員「えっ」
神「それを変更してしまうと、スケジュールに遅れがでて、金も余計にかかる」
神「我儘言うとらんで頑張らんかい」
部員「神、きびしー・・・」

プロジェクトの計画に対する全ての変更は、変更要求として起票・レビューされ、
CCBによって承認されることで決定されます。
これを行わず、勝手にスコープが拡大してしまうのが「スコープ・クリープ」です。
変更受け入れ時には、特にスコープ、スケジュール、コストに影響しないかを
慎重に見定める必要があります。

実行(監査)

「品質のマネジメント」

練習ワーワー
リ゚д゚)「じ-」
部員「えっと、どなたでしょうか」
リ゚д゚)「私は女ちゃんの友達。彼女に頼まれてあんたたちを見張りに来たの」
部員「(うぜー)」
リ゚д゚)「あなた!いまの腕立て伏せ、顎が地面についてなかったわよ!」
リ゚д゚)「あなた!ノックは1000本でしょ!まだ992しかいってないのに終わっちゃダメよ!」
部員「(マジうぜー・・・)」

プロジェクト活動がプロジェクトの方針、プロセス、手続きに従っているかを
レビューすることを「監査」と呼びます。
監査は、第三者が行うことが望ましいとされます。

成果物の検査

「品質のコントロール」

時は過ぎて夏前。
川o・-・)「いよいよここまで来たわ・・・今までの練習の成果を見せてちょうだい」
川o・-・)「笛(ピッ)」
部員「ベンチプレスうおおおおお」
部員「マラソンうおおおおお」
部員「テストかりかりかり・・・」
川o・-・)「ふむ、全員基準クリアね。検査結果は問題なしだわ。」
部員「(俺たち・・・人間牧場・・・?)」

パフォーマンスを査定し、アウトプットが正しく、期待を満たしているかを確認します。
これを「成果物の検査」と言います。

受け入れ検査

「スコープの妥当性確認」

監督「お前たち、今日はわしら中年OBチームと試合だ!」
川o・-・)「ずいぶん唐突に来たわね」
監督「こんな中年どもに勝てないくらいなら、予選出場は辞退してもらうぞ!」
部員「うおおお、やったらー!」
ワーワーワー
監督「ふっ、強くなったなお前たち・・・合格だよ」
部員「(5回コールド負けしておいて、なんでそんな偉そうに・・・)」
川o・-・)「やった!監督にみんなが受け入れられたわ!」

完成したプロジェクト成果物を正式に受け入れます。これを「検査」といいます。
先ほどの「成果物の検査」では、「正しいかどうか」が関心事でしたが、
ここでは、「公式な受け入れを行うかどうか」が主たる目的となります。

終結

「プロジェクトやフェーズの終結」

そして夏。
部員「ま、負けた・・・あと1点だったのに・・・」
部員「甲子園2回戦敗退・・・まぁ、我ながらよくやったと思うよ」
監督「そうだな。皆、計画を完璧にこなした。目標は達成、成果は十分でたさ」
川o・-・)「じゃあ、マネージャーとして最後の仕事・・・」
川o・-・)「次のマネージャーに向けて、教訓という資産を残すことと、」
川o・-・)「定常練習についての手順書を作るわ」
部員「(労いとかじゃないんだ・・・)」

プロジェクトを通じて、ノウハウは「教訓登録簿」として記録されていきますが、
終結のフェーズにおいては、それは「教訓リポジトリ」に移行され、
次回以降のプロジェクトで活かせるよう、保存されます。
また、運用ドキュメントなどもこのタイミングで引き継がれます。

川o・-・)「来年は、チームを甲子園で優勝させてよね!」
次のマネ「え、マネージャーってそんなハードな仕事なんですか!?」

 

もし高校野球の女子マネージャーがPMP試験を受けたら 完。

めでたし、めでたし。


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